琅琊榜 地獄のお誕生会に思う事。気ままに琅琊榜をうだうだ、
が、「小物」。公主の夫、府馬都尉。
だから、真っ先に梅長蘇に潰された。
天牢での会話通り、梅長蘇の方が賢いのです。(笑)
謝玉如きに赤焔軍が潰されたなどと、赤焔軍をよく知る靖王には信じられなかったでしょうに、真実は蓋をされたまま、触れることさえ許されなかったのです。
兄祁王の冤罪と、赤焔軍の無念を晴らすことを、何より切望していました。、
例え帝位を争ってでも、真実を明かすことに躊躇いは無かったでしょう。
そして景琰は、祁王の元、祁王と同じように帝王学を学んだのです。
祁王の望む治世、国の有り様、人々の暮らしを、そっくり頭に入れたのではないかと思います。
靖王が皇帝になり、祁王の果たせなかった事を、祁王に代わりに行っていくことは、靖王にとっては、なんの不自然さも無かったのだと思います。
むしろ、敬愛する兄が成せなかった志を、祁王の想い描いた手法で叶えていく事は、靖王にとって幸せな事なのかも知れません。
だから、簫選のお誕生会で「兄、祁王がしなかった事は、私もしない」そう言って、父王を皇帝の座から、引きずり下ろす事はしなかったのです。権力は充分に掌握しており、治世の力も、簫選以上だったでしょう。皇帝の座が無くとも、実質、あの簫選のお誕生会前は、老いた父王に代わり、国を動かしていたのは靖王景琰だったのです。
朝臣とて、簫選を退位させ、景琰が皇帝になることに、異論はなかったでしょう。
そして祁王は学ばなかった事を、靖王は身をもって学んだのです。
臣下の謀。自分の地位を守るという事。
宮廷が、乱れなければ、国が乱れ、民が苦しむ事もないわけです。
林殊もまた、祁王リスペクトだったのではないでしょうか。
「あれ程の逸材」祁王を、たかが朝臣、小物の謝玉の謀で、まんまと死なせてしまったのは、悔やまれたのではないかと、、、。
林殊は勿論、その父林燮、梅嶺で散った赤焔軍達、そして、祁王の無実を嘆願した黎崇先生や書生達、、、皆、あの事案で凶刃で果てた命が、悔やみ、、、、その亡き魂の望みは、祁王が描いていた世の中を、作ること。
それを現実に行うことは、生き残った林殊と、その場にいる事も出来ず、以来ずっと苦しみ続けた靖王の心が、救われる唯一の手段だったのではないでしょうか。
帝位に就き、祁王に代わりその治世を行う事で、靖王の心が救われたのではないでしょうか。
梅長蘇は、梅嶺で命尽き、その魂は風となって、皇帝景琰となった靖王の心を傍で支え、慰め続けたのではないでしょうか。
生前、遺した事業や、その後の江左盟の動きに、梅長蘇を、、林殊を感じる筈だと思うのです。
林殊であった頃も、梅長蘇となった時も、二人、時を忘れるほど、論じあったり、協力して対策を練ったりした筈です。
林殊や梅長蘇の手法や、考え方がそっくり靖王の中に、収まっていたのではないでしょうか。
離れていた時間も消えてしまう程に、二人の心は近く、離れ難い。
片割れの体が朽ちようと、互いの中に互いが存在しているのではないでしょうか、、、、まるで生きているかの様に、、、。
梅長蘇、死した後も、梅長蘇が生前、何故江左盟にこんな動きをさせていたか、、、または、辺境のどこかで、およそ有り得ない事業がなされていたりとか、、、、。
かつて少年の折、寂れた辺境の寒村を見て、林殊が「地形や環境を利用し、特別な物を生み出せれば、ここまで貧しくはならないだろうに、、、」とか、ポツリ言ったのを靖王は覚えていたり、、、。
(↑そんなシーンはありません)(←恐らく血涙の影響)
梅長蘇亡き後、似たような村がそうやって生き返った姿に、生前の梅長蘇が興した事業なのだろうかと。
死して尚、彼の心と存在の大きさに、自分が孤独ではないという、癒しのようなものを感じたり、、、、。
そして全ての事は、靖王の為なのだと、梅長蘇に守られている心強さをかみしめたり、、、。
若き頃は何かある度に林殊を守っていたのに、いつの間にか、守られている事に、国政で壁にぶつかる度に思い出と共に、優しく風が傍を吹き抜け、皇帝景琰は「しっかりせねば」と奮起したり、、、、、。
そこに梅長蘇や林殊の心を感じ、全ては自分の為になされた事だと察して、自分は決して孤独ではなく、常に傍らに友の存在を感じ続けるのではないかと、、、、。
◇◇◇で、突然始まる物語、、、、
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ずっと、梁を守り続け、駆け続けた皇帝景琰にも、最後の時がおとずれ、、、。
前夜、峠と言われた皇帝景琰の病状は山場を越し、落ち着いた。
昨夜は、王族、朝臣、皇太子らが控えていたが。
今は病状は落ち着き、安定をしていて、王族や、朝臣らは一旦戻ることに。
伝えるべき事は全て伝えていて、「自分1人が消えたとしても、大梁は少しも揺るがぬ、、」皇帝景琰は、そう、思っている。
━━━後は、皇太子がやるだろう。全ては決まっており、不測の事態は長林王が上手く対応するだろう。
頼むべき者に全てを委た。この後、治国は粛々と進められてゆくだろう。
庭生が、表となり影となり、きっと上手く事を運んでくれる。━━━
なにも、憂う事も、心配する事も無い。
穏やかな表情の、老いた皇帝。
昨夜の苦しみが嘘のように、痛みもなく、呼吸すら楽にできる。
━━━また、起きて歩くことが出来るのかも知れない。━━━
今宵は長年の体の不調が、嘘のような、、、一体何だったのかと、不思議に思う位、痛みや不具合の無い体なのだった。
だが、さすがに疲れていた。
昨日まで体調は次第に悪化し、幾晩か、酷く苦しんだのだ。
うつらうつらと眠りに落ちてゆく。
眠りは力を生み出すのだ。
薬湯のせいかも知れなかったが、抗わなかった。
夢を見た。
母の夢、父の夢、、、祁王や宸妃、懐かしい顔ぶれの。
幼い頃の、昔の事を思い出す。
━━━色々、、、あったが、、、、
私は幸せだったのかも知れない。━━━
そんな風にも、思えていた。
天災や、周辺国の侵攻や、、、未然に防げなかったものもあったが、だが、最終的には全て止めた。
大梁の国土は、父、簫選に渡された時のまま、少しも削らせてはいない。
他国への侵攻は全く考えてはいなかった。
この国を豊かにすることだけ。
その豊かさを奪おうとする者達が、領土を犯そうとしたが、そうはさせなかった。守り切ったのだ。
祁王の望んだ国を、作ったのだ。
祁王の無念さは晴れただろう。
これで良かったのだろうか。
私は、良くやれたのだろうか、、、、
飢えて人知れず死ぬ者は居ないか、権力に不遇に扱われる者はいないか、、、、、。
気がつくと、景琰は梁の空を飛び、国が安らかか、探していたのだ。
鳥の様に、自在に空を航る夢、何度も見た夢だった。
そしてまた今夜も見ている。
まだ、努めるべき事案があるのかも知れない、、、、そう思った。
「景琰、、景琰、、、。」
体を揺すり、起こそうとする者がいた。
「、、、、小殊、、。」
目を覚ますと、寝台の傍らに、梅長蘇が座って、皇帝景琰を揺り起こしていた。
「、、、小殊、、小殊なのか?。」
起きようとする景琰を、梅長蘇は助け、景琰は寝台の上に座り、まじまじと梅長蘇を見た。
作品名:琅琊榜 地獄のお誕生会に思う事。気ままに琅琊榜をうだうだ、 作家名:古槍ノ標