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第三部11(111) Messiah 1

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「お、おい…。ウソだろう?悪い冗談よせよ」

「こんな…本番前のこんな時に、そんな冗談言うかよ。…さっきビアンカの旦那が申し訳なさそうにその旨を伝えに来たよ。ただの風邪ならば多少の無理を押してでも出演するところだけど…どうやら症状から今年のインフルエンザの可能性があるからって…不特定多数の人が集まるところへは出る事が出来ないと…」

「マ、マジか〜〜。…ソプラノのソリストがいなくて、どうしろって言うんだよ…」

その場にアレクセイが頭を抱えてヘタリ込む。

「ア、アレクセイ、アンダーは立ててないの?」


「ンなのいるかよー。オケも合唱もギリギリだよ。特に合唱なんて皆譜面も読めないところから何とかカタチにしたんだぜ?おまえだって知ってるだろう〜」

「あ、…そうだったね…」

3人の間に暗澹たる空気が漂う。

「仕方ないな…。今年のメサイアは残念だけど中止…」

そう言いかけたマルコに

「待て!」

とアレクセイが遮る。

「一人…一人いるぞ!ここに。…メサイアのソプラノソロを歌える人間が!」

アレクセイがユリウスの方を振り返る。

「頼む。ユリア。…メサイアのソプラノソロを歌ってはもらえないか?」

作品名:第三部11(111) Messiah 1 作家名:orangelatte