第三部14(114) Messiah 4
程なくして町長を連れた町長夫人が楽屋へ戻って来た。
先程は昼食中にいきなり車を出せと言われ、今度は車のキーを渡せと居丈高に言われた町長は困惑を通り越して半べその体である。
「さ、あなた。この方にキーをお渡しして」
「お渡ししてって…おまえ…」
「お渡しなさい!」
細君に恫喝された町長が半べそ顔でアルラウネにキーを渡す。
キーを受け取ったアルラウネがニッコリと町長に微笑みかける。
「感謝致します。ミスター。助かりましたわ。大丈夫。私運転上手なので。必ず無傷でお車はお返し致しますわ」
ー ではごめんあそばせ。
アルラウネが借りた車のキー片手に楽屋を足早に去って行った。
作品名:第三部14(114) Messiah 4 作家名:orangelatte