二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

MEMORY 死神代行篇

INDEX|27ページ/45ページ|

次のページ前のページ
 




 話が済んだタイミングを計って、テッサイは水色と啓吾を茶の間へ通した。
 一学期中間考査での一護の成績は悪くなかった。
 偏に、平日に浦原商店に通い高校生の顧客を増やす代わりに浦原に勉強を見て貰ったお蔭と言えよう。見て貰った、と言っても、授業中の教師の説明では理解出来なかった事について質問し、浦原が効率よく説明をしてくれるというもので、手取り足取り教えてくれたわけではない。
 一緒に聞いていた啓吾や水色は理解らなかったようである。
 その教え方は、期末考査に向けての勉強会でも変わらない。

「どうして一護は浦原さんのあの説明で理解るわけ?」
「ん? そりゃ、浦原さんが私の程度を知っていてそれに合わせて説明してくれたからじゃね?」
「程度を知っていてって?」

 水色がきょとりと小首を傾げてみせる。
 小島水色。こう見えて、かなりの年上キラーである。同級生には無害だと豪語しているが、ルキアの実年齢を知ったらどう出るか判らないので、要注意とは言ってあるが、ルキアはそういった方面には自覚が薄いらしく何の意味か理解っていなかった。尤もルキアに忠告した一護も、自身の事については髪の色で目立っているだけでもてていないと勘違いする程度には、自分の事には鈍い。
 天然と言われるほどに感覚がはっちゃけている織姫と、自分に絡む輩は全て髪色で目立つ事に難癖を付けてくる者だけだと勘違いしている一護と、男生徒が送ってくる愁派を感じていないらしいルキアは、一部の生徒に『一年三組の天然記念物美少女隊』と呼ばれている。頓珍漢な答えを返されるか、睨まれるか、スルーされるかでは、何れにせよ高根の花と認識されるようになるのも時間の問題だったのだろう。

「高校受験の時、塾に行ったり家庭教師付けて貰ったりする代わりに、浦原さんに教えて貰ってたんだ。中一の時に先生の教え方で理解出来なくて頭痛めてたら、浦原さんが説明してくれてねぇ。すんごく理解り易かった。」

 語尾にハートマークが付きそうな勢いで話す一護の声が耳に届いたのか、浦原の視線が会話する一護達に向く。

「根っからの文系だから、理論を理解出来れば使い熟せるんだけど、自分で理論を見つけるとか出来ないからさ。」
「黒崎サンは理論が理解ると応用が利く人ッスから、教える方は楽ッスよ。」

 ここ暫く、伝令神器に届く虚の情報があるのに、現場に行くと既に虚がいないという事態が何度か起きている。浦原に伝令神器の確認を依頼する予定で浦原商店に出向いたのに、水色と啓吾が付いてきてしまって出来ずにいた。
 そうこうする内に、休憩にとお茶を飲んでいると伝令神器が鳴り、すぐに静かになった。

「まただ。」

 ルキアの促しにも一護が動かず、すぐに鳴らなくなったので、ルキアは不機嫌そうに伝令神器を睨んでいる。
 一護は試験勉強をしているノートのページを捲り、さらさらと書き綴って浦原だけに見せる。
 『現世に石田親子以外に滅却師の力を持つ者は生存している?』
 浦原はざっと読み取って、見つめてくる一護に小さく首を横に振って見せた。
 一護は溜息を吐いてまたしてもさらさらと書き綴る。
 『なら石田雨竜が犯人か。
  私より先に虚を消して、勝った気になっているのかな?
  それとも死神の仕事を邪魔して怒らせて、勝負を仕掛けるのが目的?』

「良い読みッスねぇ。」

 思わず浦原が小声を漏らすと、水色と啓吾も振り返る。

「黒崎サンは本当に読みが鋭いッス。」

 水色の視線に気付いた浦原が会話を隠語に切り替える。

「合ってるんだ。」
「他にはありませんからねぇ。」
「答えは理解ったけど、応用が面倒臭そうだなぁ。」

 一護はこの場に織姫や茶渡がいない事に感謝した。二人がいたら会話の不自然さに気付かれてしまうからだ。



作品名:MEMORY 死神代行篇 作家名:亜梨沙