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MEMORY 尸魂界篇

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 浦原との鍛錬で卍解にまで到達出来たのだ。時間も条件も有効利用するべきだ。“記憶”の中で恋次がルキアを抱えた儘ボロボロになっていたのは、勿論藍染が強い事もあったが、白哉と対峙して卍解を壊されボロボロになったのを、花太郎に治療されて完全回復しない儘でルキアを抱えて逃げていた所為だ。
 ならば、消耗しなくても済む力は消耗させない。
 恋次と戦った事は白哉に些かのダメージも与えていなかった。ならば、恋次の意地の為に消耗させるわけにはいかない。
 恋次の見守る中で、夜一の精彩が上がり、一護の動きが鈍くなる。
 そうと自覚した一護は舌打ちをして動きを停めた。

「どうした、一護。もう限界か?」
「集中力が切れた。……夜一さんのウォーミング・アップには十分?」
「まぁ、そうじゃの。」

 握力の具合を見ながら夜一が頷くと、一護はふっと息を吐く。

「掠り傷一つあっても、この後の戦いには差し支えるから、温泉浸かって治してくるわ。」
「待て、一護。」
「あ?」

 踵を返した一護を恋次が慌てて呼び止める。一護は首だけ振り向いて恋次に視線を向けた。

「テメェの言う黒幕の正体をどうして俺に教えねぇ?」
「……信じられねぇから。」
「あ?」
「目の前に事実を叩き付けられなけりゃあ、信じられねぇだろう存在が裏切り者だからだ。下手に此処で黒幕の名前を言ったら、それこそ不信感を持たれて台無しになるのがオチなんだ。」
「………そんなに意外な奴なのか?」
「だから今まで誰にも疑われずに暗躍してこれたんじゃん。っても、百年前には疑ってた奴いたな。葬られたけど。」
「百年前だぁ?」
「そいつの罪を被せられて、尸魂界追放になったのが、浦原さんなんだよ。」

 一護はそれだけを言うとそれ以上は何も言わずに歩き去った。
 咄嗟に追い掛けようとして、一護が湯に浸かりに行った事を思い出して踏み止まる。
 女である事を武器にした一護の対応をズルいと恋次が思った事は、一護の知る由もない事である。



作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙