二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

MEMORY 尸魂界篇

INDEX|44ページ/67ページ|

次のページ前のページ
 

「白哉坊と阿散井はその場におったのじゃろう? ならば、一護の仕業か?」
「流石、夜一さん。」

 一護の肯定に、元柳斎が目を瞠る。

「どうせなら浮竹や京楽にも……。」
「無茶言わんでくれ。双殛に来なかった剣八と一角にも届いてたって事は、私が直接対峙した連中と仲間にしか届いてないって事じゃん。総隊長さんに届ける事が出来たのは、総隊長さんの霊圧が瀞霊廷中に響いてたから把握出来た所為だ。」
「ほ? 霊圧探査は苦手かの?」
「探査も得意じゃねぇけど、認識が苦手なんだ。人の顔もあんまり覚えるの得意じゃねぇし。」

 一護はバツが悪そうにガシガシと髪を掻き混ぜている。
 子供っぽい仕草に死神達は思わず笑みを誘われる。

「自分からの発信なら兎も角、敵の様子を送るなんて、随分高等技術を使えるんですね。」

 感心したように言う勇音に、一護は困ったように苦笑する。

「コントロールが効かなくて、鬼道が苦手になったと言ってなかったかい?」

 京楽の指摘に、一護はくすりと笑って、晶露明夜を出現させる。

「市丸に架けた縛道は、私の完現術の結界に仕込んだ浦原さんの縛道なんだよね。」
「⁉」
「この球体には、自分の霊力ばかりじゃなく、他人の霊力も吸収できる。その力を発露する事も自在に出来るし、相性が合えば中に籠めた力を増幅する事も出来る。」
「つまり……喜助君の技を、それに仕込んで持ってきたって、事?」

 京楽が半信半疑の様に口を開くと、一護がにこりと笑う。

「正解。ルキアの処刑を止める為に尸魂界に乗り込む心算で、浦原さんに特訓して貰った時にこの使い方を覚えた。藍染が自己顕示欲は強いものの、秘密主義で事実を暴露した後知った者を殺すだろうとも聞いてたから、事実を伝える方法として仕込ませて貰った。ルキアを何としても助けたかったしね。」
「一護………。」
「斯波海燕があんたに託したものは、簡単に消してしまって良いものじゃない筈だぞ。」
「!」

 一護の言葉に目を瞠ったルキアは言葉もなく俯く。
 岩鷲は意識の外に追い遣っていた【兄貴を殺した死神】の事を思い出し、剣呑な視線を肩越しにルキアに向ける。

「浦原さんに霊子変換器付き穿界門を開いて貰って断界に突入したんだけど、拘突に出くわしてねぇ。」

 一護が疲れたように溜息を吐くと、あの時の恐怖を思い出したのか、雨竜が身震いする。一護がジト目でギンに視線を遣る。

「藍染の仕業?」
「当たりや。一護ちゃんだけで充分て思うとったみたいでなぁ。」
「……話に聞いてたより性格悪いんだな、藍染惣右介って。」

 ボソリとした一護のコメントにギンはくすりと笑う。

「白道門に市丸が配備していたのは藍染の指示か?」

 浮竹の問いにもギンは素直に応える。

「そうですわ。旅禍の皆さんが着くのが西流魂街っちゅーのんは、浦原隊長の伝手やから判っとったし、白道門使えへんねんかったら、斯波空鶴はんの花鶴射法使うしかないんやろうし、そうなれば、護廷の意識全部攫えるねんて、藍染隊長の思惑やったんや。」
「……見事に藍染の思惑通り、してやられたわけか。」

 冬獅郎が苦く呟く。

「そういえば、夜一さんに冬獅郎への伝言って言うか、忠告頼んだの、どうなったんだ?」

 一護が、最中には忙しく気にしていられる余裕もなかったので流してしまった件について、此処に来て訊ねる。

「言伝では拙いかと思ったのでな。文書で置いて来たんじゃが、日番谷にとっては怪文書も同然じゃったようじゃの。」
「って、あれ、黒崎からの忠告だったのかっ⁉ 否、どうしてそんな忠告が出来たんだ?」

 驚いている冬獅郎に、一護は微かに眉を顰める。

「ん~。私が、浦原さんから唯一聞き出したのは、浦原さんを陥れた輩の性格について。どういう類の策士か判れば、対策も立てられると思ってさ。雛森さんが危ないと思ったのは、冬獅郎の弱点になり得る人だからって事で。」
「! 雛森があんな目に遭ったのは俺の所為、か?」

 冬獅郎が要らぬ罪悪感を抱えそうな気配に一護は内心で舌打ちする。

「悪意と計算の元で計画された事に、大人しく傷付いてるんじゃねぇっての。藍染は、市丸の動きを停める為に吉良さんや乱菊さんを利用する事なんて平気でやるぞ。」
「一護ちゃん。」
「違うとでも言う心算か?」
「や。違わへんけど……。」
「明確な弱点じゃなくたって、それこそ罪もない無関係な人だって、使えるとなったら使うのが藍染惣右介って男だって、浦原さんは言ってたけど?」
「ははぁ。喜助君も恨みが籠ってるようだねぇ。」

 京楽の茶々に、一護は内心で溜息を吐いて元柳斎を窺う。元柳斎は渋い表情だ。

「そういえば引っ掛かってた事あるんだ。」

 呟くように言った一護がギンに視線を向ける。

「私達が花鶴射法で遮魂膜を越えてから爆散した後、何か力が加わったみたいだったんだけど、心当たりは?」
「そら、藍染隊長が落ちる先を調整しとったみたいやね。」
「……RPGかよ。」
「ん?」

 一護の呟きに、ギンが首を傾げる。

「あーるぴーじー、とは何じゃ?」

 聞き付けた元柳斎が口を開く。

「それは、現世のゲームで……。」

 雨竜が説明しようとして言葉に詰まる。

「冒険小説のような展開の遊びだ。仲間を集め、力を磨き、能力を高め、敵に対峙する。勝ち続ければ敵の大ボスが登場して、勝てばクリア、勝利して終了。ゲーム機の中だけで展開するんだけどな。」
「何がRPGなの?」

 全員の疑問を織姫が代表したように口にした。

「ルキアを助ける為に守りの力の強い姫も、信念の強いチャドも、頭の回転の良い石田も来てくれたし、夜一さんと言う賢者がいて、その伝手で空鶴さんが力を貸してくれて、岩鷲が仲間に加わって、落ちた所で待ち構えてたのが三席の一角で、次に副隊長の恋次、次が卍解は出来ないけど隊長の剣八、双殛の丘じゃ、速さに定評のある卍解出来る隊長の白哉。順にハードル、障害が高くなってんじゃん。」

 正しく、仲間を集め、力を磨き、能力を高め、敵に対峙する。
 一護の言ったRPGその儘の展開だ。蟀谷を抑えながらの一護の言葉に、現世組は納得し、十一番隊の二人は不満を覚える。

「俺より朽木が強ぇって言いてぇのか?」
「……。」

 同じ不満を覚える一角だが、卍解出来る事を隠している手前公然と抗議は出来ない。

「藍染の評価だろうけど、でも実際私に対してはそうだったんじゃね?」
「……どういう意味じゃ?」
「一角は喧嘩を楽しんでた。恋次は八つ当たりをぶつけてきてた。剣八だって楽しむ為に手加減してたろ。白哉でさえ、本音と立場で雁字搦め状態だったじゃん?」

 肩を竦めた一護に、元柳斎が微かに目を瞠る。ふと口元に笑みを浮かべて一護に問う。

「実力で勝ったとは思わなんだか?」
「あのなぁ………。」

 一護は反射的に口を開いて、元柳斎が面白がっている事に気付き溜息を吐く。

「一角の本気の霊圧は知らねぇけど、恋次はスピードが左程じゃねぇから何とかなるかも知んねぇ。けど、剣八に全力で来られたら防御なんぞしきれねぇし、白哉だって卍解修得してから長いんだぞ。本来なら鍛錬不足の私が敵うわけねぇじゃんか。」
作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙