MEMORY 尸魂界篇
掟に従う事を良しとしていれば子供を手に入れる術はない。
流魂街出身の妻を迎えた事も、流魂街出身の義妹を迎えた事も、掟に逆らう事で、両親の墓前に二度と掟を破らないという誓いを立てた白哉だったが、誓いを貫こうとするあまり真実を見失って過ちを犯した。
指針を失いそうな心境になっていた白哉に、朽木白哉という自分こそを指針とすれば良いのだと一護から告げられた言葉は、世界を創り変えられたほどの衝撃だった。
一護は好いた男がいるようだが、現世の男など死して尸魂界の住人となってしまえば再会すら儘ならぬ相手でしかない。順調ならば数十年待たねばならないが、その時間を待つ事は、一護相手なら苦痛にはならないだろうと、白哉は思った。
白哉の気持ちに気付く者など此の場にはいる筈もなく、白哉は一護が惹かれた相手が誰なのかまるきり気付く事も見当が付く事もなく、長期戦で一護を獲得する心算になってしまった。
作品名:MEMORY 尸魂界篇 作家名:亜梨沙