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桜恋う月 月恋うる花

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「監察方の山崎さんを着けて頂ければ良いかと。監視も出来るし、私が近藤さんの親戚筋で千鶴さんの警護をしていたという建前も、繋ぎを取る相手として監察方の山崎さんは適任でしょう?」
「……読みが深いじゃねぇか」
「……申し訳ないけれど、腹黒さ、もとい策士ぶりが、土方さんや山南さんが比でない相手と、命の遣り取りした経験があるのでこの程度は策が立てられます。それに私は土方さんのファン……愛好家とか贔屓とかの意味です……なので、そういう点は読めますよ」
「ほう」

 山南さんが意味深に土方さんに視線を送る。

「そういえば初めて遭った時も、土方さんが好みだとか何とか言ってたよね」

 沖田さんが揶揄の心算でニヤニヤしながら言うけど、そんな事でたじろぐ静香さんじゃないんだよ、沖田さん?

「土方さんは、顔立ちだけでなく纏う気配が綺麗な方ですもの。顔だけでない有能な殿方は好きですわ」

 にっこりと笑ってつるりと答えると、沖田さんは詰まり、斎藤さんは『慎みがない』と小声で呟いた。

『お前の独壇場になってるみたいだな』

 和麻さんが遠耳で声を掛けてくる。この方法だと和麻さんが意図した人以外には声が届かないから内緒話が出来る。尤も、和麻さんしか使えないから、私の言葉を綾乃や煉に伝えるのは無理なんだけどね。
 肩を竦めて和麻さんとアイコンタクトを交わして、土方さんに向き直る。

「手順としては、綾乃と煉が屯所を出て山崎さんと待っている所へ、私と千鶴さんを和麻さんが連れて行って合流し、山崎さんの案内で屯所を訪れた事にするのが宜しいかと」

 土方さんは私の提案に、暫く思案した後、深く溜息を吐いて答えた。

「まあ。それが無難だな」

 土方さんの言葉に、斎藤さんは頷き、沖田さんは肩を竦めた。
 山南さんは眉を顰めていたが、代替案が浮かぶわけでもいらしく反論はなかった。

「なら、早いに越した事はないな。広間に移ろう。斎藤、皆を集めてくれ」
「御意」

 相変わらず土方さんと斎藤さんのコンビネーションは良いわね。
 沖田さんに手伝って貰って食べ終わった後の膳を厨まで運び、それから広間へ足を向けた。



作品名:桜恋う月 月恋うる花 作家名:亜梨沙