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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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「はぁーっ!」
 ダークネスに向かって右、左、右とパンチを繰り出していくが全てギリギリでかわされ、最後のパンチの右手首をダークネスが左手で捉えて引っ張ると、マジカルが前につんのめるようにして態勢を崩す。再び懐に入ったダークネスが右腕の肘鉄をマジカルの胸に打ち込んだ。
「ああっ!」
 途轍もない勢いで吹っ飛んだマジカルは後方の大木に激突して華奢な体で太い幹をへし折った。木が倒れると土煙が舞い上がり、マジカルの姿がその中に消えてしまう。
「マジカル!?」
 ミラクルの悲痛な叫びがあがる。土煙が次第に消えていくと、直立するマジカルの姿が現れる。マジカルが左手に持ってるものを見てダークネスが目をひそめた。
「それはリンクルステッキ!?」
「リンクル・ガーネット!」
 リンクルステッキにセットされたオレンジ色の宝石が輝きダークネスとウィッチの足元の大地が歪む。
「油断させるためにわざと攻撃を受けたわね!」
 地面のうねりに足を取られながらダークネスが叫ぶ。
「うわああぁっ!? なにこれ足元ぐにゃぐにゃだよ〜っ!?」
 ウィッチは手をブンブン振り回して何とかバランスを取ろうと頑張っていた。そこへミラクルとマジカルが同時に向かってくる。
「ウィッチ、インディコライトを使いなさい!」
「リ、リンクルっ! インディコライト〜っ!」
 ウィッチの左の腕輪の黒いダイヤが青い宝石と入れ替わる。ウィッチは足元が揺れて狙いが取れない状態で魔法を放った。彼女らの目前まで迫っていたミラクルとマジカルに青い閃光が襲い掛かる。二人は小さな悲鳴を上げ、全身が痺れて立ち止まってしまう。
「インディコライトは拡散する電気の魔法、至近距離なら狙いがずれても問題ないわ」
 もうダークネスたちの足元は普通の地面に戻っていた。ミラクルとマジカルは危険を感じて後ろに跳んで下がる。接近戦で勝ち目のない事はもう明確になっている。
「リンクルステッキ!」
 ミラクルがリンクルステッキを出現させて、それを右手に握ってジャンプした。
「リンクル・ペリドット!」
「そうよね、あなた達が出来ることはそれしかないわ」
 そう言うダークネスに向かってミラクルが空中から深緑の葉の竜巻を放った。それに対してダークネスが右手を上げて呼びかける。
「リンクル・オレンジサファイア!」
 ダークネスの手の平から放たれた炎と木の葉がぶつかり、無数の葉に炎が次々と燃え移っていく。
炎は葉を伝って一気にミラクルに迫る。
「ええっ!?」
 燃え上がる無数の葉がマジカルの視界を遮った。驚いているマジカルの目の前に炎を追い払ってダークネスが現われる。
「木の葉と炎がぶつかり合ったらそうなるわよね」
 ミラクルは初めて敵が怖いと思った。今まで出会ったどんな敵にもそんな感情を抱いたことはなかった。声も出ないミラクルの腹部にダークネスの蹴りが食い込む。ミラクルは悲鳴を上げながら超スピードで墜落して地面に叩きつけられた。
「ミラクルっ!」
 マジカルが駆け寄ると、ミラクルは大きく陥没した地面の中心で苦しそうにうめいていた。マジカルは着地したダークネスを睨む。
「なら、これならどう! リンクル・アメジスト!」
 マジカルの前に紫色の魔法陣が開き、そこにマジカルが飛び込んで姿を消す。ダークネスは右手を前に叫んだ。
「リンクル・ブラックオパール!」
 ダークネスの前に黒い円形のバリアが現われる。ダークネスの上方に魔法陣が現れて、そこからマジカルが蹴りの態勢で飛び出してきた。
「てやぁーっ!」
 ダークネスが手のひらを上に向けて黒いバリアでマジカルの攻撃を止めた。
「ムーンストーンと同じ防御の魔法!?」
 マジカルの攻撃を跳ね返したダークネスは矢のように走りだし、
「はぁっ!」
 着地する寸前の無防備な状態のマジカルに拳を打ち込む。その身に衝撃を受けて礫のように飛んだマジカルは木に背中から叩きつけられ、少女の身で表皮を大きくへこませ、大木をしならせた。マジカルがゆっくり木からはがれ落ちるようにして地面に倒れ込む。すぐに上半身だけ起こしたが、苦し気に片目を閉じていた。
「どうして攻撃が読まれるの……?」
「もしわたしが同じ魔法を使って攻撃するとしたら、プリキュアとしての誇りがあるから後ろからは攻められない。あんな魔法を使って正面切って攻めるなんていうのは問題外。だとすれば残りは上か左右しかない。その程度の選択肢なら見てからでも防御できるわ」
 ダークネスの話を聞きながら、マジカルは勝てないと思った。悔しいが今は勝ち目がない。これ以上戦いを続けるのは危険だとも思う。諦めが肝心という言葉もある。マジカルがそう考えていると、ミラクルが立ち上がってリンクルステッキを構えているのが見えた。ミラクルは今の今まで何かを諦めたりしたことがない。だが、ダークネスとウィッチは今までの敵とは違う、プリキュアなのだ。
「リンクル・アクアマリン!」
 ミラクルがステッキを上へ、するとステッキに透き通った湖水のような色の宝石が宿る。ミラクルは距離の近いウィッチにステッキを向けた。身構えるウィッチにダークネスが叫ぶ。
「ウィッチ、ジェダイトよ!」
 ダークネスの声を聞いてウィッチは愚直に行動に移す。
「リンクル・ジェダイト!」
 ウィッチの左手のブレスレッドに草色の丸い宝石が現れ、油でも塗って磨(みが)いたように照かった。ミラクルのステッキから撃たれた氷の粒を無数に含む冷気とウィッチの左手から撃たれた旋風が二人の中間でぶつかり、空気の渦が冷気を巻き込んで近くの樹に吹き付ける。葉や梢から根っこまで瞬く間に樹全体が凍り付いた。それを目の当たりにしたミラクルは半ば呆然としてしまった。
「そんな、わたしたちの魔法が全部きかない……」
 ダークネスが一度の跳躍でウィッチの隣に戻る。マジカルも同じように跳んでミラクルの隣へ降りてくる。二人がそろうとダークネスが言った。
「あなた達はこのリンクルストーンで、さらなる絶望を味わうことになる。リンクル・スタールビー!」
 ダークネスが高く上げた右手のブレスレッドに3条の光の線が中心で交わる真紅の丸い宝石が現れる。
「ルビー!?」
 マジカルのマゼンダの瞳に映る宝石は見たことがない姿だが、その色合いはルビーそのものだった。スタールビーから生まれたピンポン玉大の赤い光がダークネスとウィッチの胸に吸い込まれる。すると二人の全身に燃え上がるような赤い光が現われた。
「スタールビーの魔法はほんの短い時間だけプリキュアのパワーを上昇させる。これで互いの力の差はなくなり、あんた達の弱点だけが残る」
「まずいわ! ミラクル、防御に集中して!」
「防御!?」
 マジカルのとっさの判断がミラクルには分からなかったが、判断が理解できるかどうかなど問題ではない。ミラクルはマジカルを信じる。互いに信じあって今までの敵と戦ってきた。どんな苦境になろうと、敵が誰であろうとそれが変わることはない。