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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 その時、別の少女がモフルンに向かって手を伸ばした。そして彼女が、空へ舞い上がろうとするモフルンの右手をしっかりつかんだ。その瞬間、花びらと風の中で魔法つかいの姿をした少女の菫色の髪がたなびく。みらいの視界に突然飛び込んできた箒に乗っている魔法つかいの少女、みらいはその少女を誰よりもよく知っている。しかし、驚きのあまり声が出なかった。これは夢か幻ではないかと疑ったほどであった。魔法使いの少女は方向転換して、高速でみらいに接近してくる。
「みらいーっ!!」
 少女が呼ぶ声でみらいの意識が呼び覚まされ、これがまぎれもない現実であることを悟る。その瞬間に思考を越えた声がみらいの胸の奥からあふれ出した。
「リコ!!」
 リコはモフルンを右腕で抱え、左手をみらいに向かってのばす。みらいは右手をのばし、空中で二人の少女の手が重なり合い、しっかりと結ばれた。リコがみらいを引き寄せ、みらいはリコに抱きついた。
「間に合ってよかったわ。まあ、計算通りだし」
「リコ! リコっ!」
 二人が抱き合うと、みらいとリコが身に着けている同じ形のペンダントにダイヤのリンクルストーンが現れて輝き、モフルンがその光に照らされる。
「苦しいモフ」
 抱き合う二人の間から声がもれた。みらいとリコが少し体を離すと、二人の間に挟まっていたモフルンが姿を現した。その見た目が先ほどまでとは少し変わっている。青くなった目に黄色の星が入り、胸のピンクのリボンの中央に丸いブローチが現れ、手の肉球はピンクのハートに、耳にもピンクの星が現れていた。
「モフルン!」
 みらいは考えもしなかった奇跡の連続に心が震え、涙がこぼれた。モフルンは微笑を浮かべ、リコの方を見上げて言った。
「リコ、ありがとうモフ。もう少しでみらいとお別れするところだったモフ」
 リコは無言の頷きでモフルンに答えてから言った。
「再開を喜ぶのは後にしましょう」
 みらいとリコは箒の上で、地上からこちらを見上げる異様な怪物を見つめていた。二人の少女の気持ちが熱く高ぶり、戦いの兆しが強くなっていく。
 フェンリルは空を見上げて目を細める。
「いきなり魔法つかいが現れるとはね。だが、人間の使う魔法などヨクバールに通じやしない。わたしが闇の結晶を奪うという事実に変わりはない」
 リコとみらいは地上に降り立ち、後に箒から飛び降りたモフルンが二人の間に立った。強大な力を持つヨクバールに二人の少女と一体のぬいぐるみが対峙する。
 みらいとリコは見つめあい頷くと、左手と右手を重ねた。そして繋いだ手に金色のとんがり帽子に魔女の箒が重なるエンブレムが現れ、つないだ手を後ろ手に、みらいは輝きを放つ桃色の衣に、リコは紫色の衣にその身を包み、みらいが右手をリコが左手を上に高く上げて同時の魔法の呪文を唱えた。
「キュアップ・ラパパ! ダイヤ!」
 みらいとリコのペンダントから出た白い閃光が同じ形のダイヤとなってモフルンの胸のブローチの上で重なって一つになる。みらいとリコがモフルンの手を取って三人で手をつなげば勇気あふれる希望の輪、そして3人はメリーゴーランドのようにゆるりと回転する。
『ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!』
 みらいとリコが伝説の魔法の言葉を唱えると、モフルンの体に白いハートが現れ同時にブローチのダイヤも光る。ダイヤからあふれた閃光が交錯し、次の瞬間に辺りに星とハートの形のクリスタルをちりばめたような不思議な光に満たされる。その輝きにあふれる世界で、みらいとリコの姿が変わっていく。
 みらいの金髪は長く伸びてふわりと広がり、前髪の一部が伸長して頬へと流れる。上半身は白のパフスリーブ、下半身はホットピンク、ピンク、白の3重フリルスカートのドレスが現れ、胴回りに金の指輪を半分に切ったような半円に銀の鎖を繋げた円環のジュエリー、鎖の部分には赤、青、白の球形のクリスタルが数珠つなぎに付いている。足にピンクのハイヒール、縁が花弁のように開いている白のハイソックス、足首には金のリング、続いてブロンドに赤いリボンで結んだサイドテールとハートの飾りが可愛い小さなピンクのとんがり帽子が付いたカチューシャが現れる。
 リコの髪は腰の下まで流れるほどに長くなり、前髪の一部が伸長して額から顔にかけて垂髪となる。胸のあたりに白い房飾りが付いたオフショルダーの紫のドレス、背中に白いマントがひらめく、スカートは紫と薄紫の二色の桔梗を重ねたように広がり、その下には白いプリーツスカート、足には黒いヒールのロングブーツ、菫色のロングヘアの上部には赤いリボンと鳥が翼を開いたようなウィングテール、側頭部に小さな星光る黒いミニサイズのとんがり帽子の髪飾りが現れる。二人が手を取りあえばその手が金の腕輪のついた白い手袋と黒いロンググローブに包まれ、そしてみらいの胸に大きな赤いリボン、リコの胸と腰の左側に小さな赤いリボンタイ、二人の胸のリボンの中央にあるダイヤが同時に輝きを放つ。天からまばゆい光が降り注ぎ、二人は手をつないだままその光の中に吸い込まれていく。
 地上に現れしペンタグラム、2重円の内に五芒星、その五芒星と円の間の隙間にハートが並び光を放つ。その上にプリキュアとなったみらいとリコが召喚された。みらいは魔法陣の右、リコは左側に、二人のプリキュアが魔法陣から跳躍して地上へと降臨する。
 ブロンドの少女は右手を上に人差し指でくるりと円を描き、その手を右下へと振り下ろし、
「二人の奇跡、キュアミラクル!」
 菫色の髪の少女は左手を上に人差し指で優雅に円を描き、その手を左下に振り下ろし、
「二人の魔法、キュアマジカル!」
 ミラクルとマジカルが左手と右手を後ろ手につなぎ体を寄せ合い、もう一方の手を合わせてハートを紡げば、それは愛と友情の証(あか)し。二人が後ろでつないだ手を前に、熱く燃える上がる気持ちと力を声に。
『魔法つかい! プリキュア!』
 突然、姿を変えて現れた少女たちに、フェンリルは美しい瞳を見開いて驚愕(きょうがく)した。
「プリキュアだと!? これはどうしたことだい、ロキ様はプリキュアはもう現れないと言っていたのに……」
 ミラクルとマジカル、そしてヨクバール、両雄はにらみ合い、お互いの間に見えない火花を散らしていた。
 その頃、小百合とラナは公園を出たばかりで、屋敷へ帰ろうとしていたところだった。
「ラナ、3個は食べすぎよ」
「だって、イチゴメロンパンおいしいんだもん!」
 そう言ってラナは3個目のイチゴメロンパンに食いつく。
「今からそんなに食べたら、夕食が入らなくなるわよ」
「大丈夫だよ、イチゴメロンパンは別腹っていうでしょ」
「そんな言葉は生まれて初めて聞いたわ。その別腹っていうのは、人間の都合のよさを象徴(しょうちょう)する言葉よね、牛じゃあるまいし」
「なんで牛?」
「なんでって、説明するのが面倒ね……」
 二人がそんな他愛のない話をしていると、公園から大騒ぎしながら次々と人々が逃げ出してくる。
「なんだか騒々しいわね」
「公園でなにかあったんじゃなあい?」
 らながそう言うと、小百合は気になって逃げてくる一人を呼び止めた。
「ちょっと、何があったの?」
「公園に化け物が現れたんだよ!」