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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 天井に現れる黒い魔法陣、さらに黒い雲が見る間に広がり、辺り一帯を暗い色に染めあげる。魔法陣に描かれた竜の頭蓋骨が怪しく輝き、警官の持っていた拳銃と闇の結晶がそこに吸い込まれていった。黒い魔法陣から竜の頭蓋骨が実体化し、吹き出す闇色の霧が形を成していく。長い爪の付いた巨大な二本の腕、トカゲのそれと似た二本の脚、背中の方から生えてきた尻尾が地面に叩きつけられる。全体が青く燃える竜骸骨の口からは銃口が突き出ていた。現れしは胸から頭に拳銃を埋め込まれたような怪物、全体はチラノザウルスのような姿で拳銃以外の部分は黒くメタリックな輝きを帯びていた。骸骨のアイホールが赤く怪しく輝くと、近くにいた警察官は恐怖のあまり逃げ出していた。
「ヨクバアァーーーールッ!!」
 獣のごときヨクバールの咆哮が辺りに轟(とどろ)いた。
 屋上にいても混乱する生徒たちの声が小百合たちまで届いた。
「なんてこと! 学校のど真ん中でヨクバールを召喚するなんて!」
「小百合!」
 ラナが右手を出すと、小百合は頷いてその手を左手でしっかり握る、瞬間に現れる赤い三日月と黒いとんがり帽子の紋章、つながった手を後ろ手に二人の少女は闇の衣に包まれて、互いのブレスレッドを高く掲げる。
『キュアップ・ラパパ! ブラックダイヤ!』
 魔法の呪文で二人のブレスレッドに黒いダイヤが現れて、そこからあふれる光がリリンのリボンの中心に吸い込まれる。そして現れたのは黒いダイヤのリンクルストーン。二人が手を開いて呼びかける。
『リリン!』
 名を呼ばれ、黒い翼を羽ばたかせ、リリンは勢いよく二人の中に飛び込んでいく。三人で手を繋いで輪になれば、リリンの胸に黒いハートが現れる。命育む聖なる闇が三人を包み込み、星々が輝く宇宙へと誘(いざな)う。
『ブラック・リンクル・ジュエリーレ!』
 三人で手を繋いで輪となり、闇の中に咲いた花のように広がって無限に続く宇宙をダイブしていく。その姿が闇の中に消えた時、月と星のヘキサグラムが現れて輝きを放つ。
 次の瞬間には、学校の屋上に現れた月と星のヘキサグラムの上に黒いプリキュアとなった少女たちが召喚された。プリキュアたちは屋上から左右に跳んで交差してから校庭へと着地する。
「穏やかなる深淵の闇、キュアダークネス!」
「可憐な黒の魔法、キュアウィッチ!」
 少女たちが後ろ手に左と右の手を繋いで体を合わせる。互いのブレスレッドを合わせ目を閉じて優しく互いの手を握り合えば、慈しみ合う少女たちの色香が漂う。二人は離れると、後ろ手に握った手を放して前に出し、力強くも可憐な声が学校中に響き渡る。
『魔法つかいプリキュア!』
 現れたプリキュア達に学校中の生徒が色めき立ち、ボルクスは驚きのあまり目を丸くした。
「なにぃ、俺のヨクバールを倒した黒い奴らの正体は、あのガキどもだったのか!? しかもプリキュアだと!? ロキ様はプリキュアはもう現れないといっていたぞ!?」
 ダークネスは校庭を踏みしめてボルクスを睨みつけた。
「あんた何考えてるのよ、こんなところでヨクバールなんて召喚して! 人がたくさんいるのよ、何かあったらどうするのよ!」
「そうだよ! わたしの友達だっているんだからね!」
 ウィッチも両手を拳にしてボルクスを罵(ののし)る。ボルクスはいきなり不意打ちをくらったように驚かされた。
「な、なんだ、何でこいつらそんなに怒ってるんだ? ええい、よくわからんが、やれヨクバール! プリキュアどもをひねりつぶせ!」
「ギョイーッ!」
 ヨクバールが叫び声をあげ、頭を突き出して突撃してくる。二人の後方には学校の校舎があった。ダークネスは身構えて言った。
「何としても学校は守らなければ」
「やらせないよ!」
 ウィッチが前に出ると、それに続いてダークネスも走る。
迫るヨクバール、ウィッチの攻撃にダークネスは合わせ、二人は飛んで完璧なタイミングで同時にヨクバールの額に拳を叩き込んだ。
『たあぁーっ!』
 ヨクバールは吹っ飛んで自身が走ってきた軌跡をたどり、校庭の中心辺りに墜落して地面が陥没する。二人は着地すると、ウィッチはダークネスに言った。
「他にも色んなリンクルストーンがあるから使ってみようよぅ、ワクワク」
「まるで理科の実験にワクワクする小学生のようね。でも、その意見には賛成よ。使ってみないことにはどんな魔法が込められているのか分からないものね」
「じゃあ、どんどんいってみよう!」
 二人はブレスレッドの付いている腕を横一文字に振った。
「リンクル・ブラックオパール!」
「リンクル・ジェダイト!」
 ダークネスのブレスレッドに黒地の中に七色の遊色(ゆうしょく)が宿る楕円の宝石が、ウィッチのブレスレッドには草原の緑を思わせる照りのある丸い宝石が現れる。
「ヨクバールッ!」
 再び頭突きをしながら突撃してくるヨクバールに向かってダークネスは右手を広げた。すると、目の前に黒い円形の障壁が広がる。そこに突っ込んできたヨクバールは障壁に激突して跳ね返る。
「ブラックオパールは防御の魔法ね」
 ダークネスの目の前でヨクバールが横なぎの竜巻を受けて後退していく。
「ジェダイトは風の魔法だ!」
 ウィッチは言って、再び左手を横に振る。ダークネスもそれに呼応(こおう)するように右手を横に。
「リンクル・インディコライト!」
「リンクル・スタールビー!」
 ウィッチのブレスレッドに群青色(ぐんじょういろ)に輝く宝石、ダークネスのブレスレッドには6条の白線が入っている赤い宝石が輝きを放つ。ヨクバールは二人のプリキュアに睨みを効かせながら動きを止めていた。
 校舎の3階にある3年一組の教室では窓から外を見ながら由華たちが騒いでいた。
「どうなってんの? あれ、映画の撮影かなにかか?」
「違うんじゃないかな、地面とか壊れてるし……」
 そういう海咲の体は震えていた。校庭にいる怪物が本物だとしたら、こんな恐ろしい事はない。その隣で香織は怪物と対峙する二人の黒い乙女を見つめていた。
「あの怪物が本物なら、あの黒い女の子たちは正義の味方かしら?」
「がんばれ、正義の味方!」
 由華が叫ぶ声がウィッチの耳に届く。するとウィッチは、何を思ったか箒に乗って三年一組の教室に向かっていった。
「こっちに来るよ!?」
 由華が興奮して言う。ウィッチは彼女らの目の前まで飛んできて人差し指を立てた。
「正義の味方じゃないよ、正義の魔法つかいだよ!」
「はぁ……」
 由華が気の抜けた声を出す。そんなことをわざわざいいに来るウィッチに、由華も海咲も香織もその他大勢の生徒達も唖然としてしまった。
「あんた何やってんのよ! ふざけてないで戻ってきなさい!」
 激怒するダークネス、その隙を突いてヨクバールが口を開けた。拳銃の銃口がダークネスに向けられる。
「ヨクバァーーール!」
 銃口から青い光を放つ弾丸が三発立て続けに撃ちだされる。ダークネスが気づいて後ろに跳ぶと、二発は今までダークネスがいた場所に撃ち込まれて爆発する。一発は外れて校舎にの方に飛んでいく。
「まずいわ!」