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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 二人が同時にアスファルトの道路の真ん中に着地すると、そのすぐ後にヨクバールも地上へ、トラックの重量を支える巨大な鳥の足がアスファルトにめり込み道路に亀裂が入った。突然、化け物が現れて街の人々は大混乱、近くを走っていた車なども急停車して運転手が外にとびだし、みんな逃げだした。そんな人々と入れ替わるようにして、小百合とラナが姿を現す。二人は建物の陰から様子を見た。
「伝説の魔法つかいだよ〜、何度見てもファンタジック!」
 隣で興奮気味のラナを置いて、小百合は伝説の魔法つかいが相手をしているヨクバールに目を向けていた。
「あのヨクバール、前に戦ったやつよりも大きいわ」
「羽なんかもあって、なんか強そうだね〜」
 ヨクバールの足に付いているタイヤが高速回転し、地上を滑るように走りながら二人に迫る。ヨクバールの予想外の速さに二人は少し驚くが、左右に跳んで体当たりをかわし、同時に地面をけってヨクバールに接近、跳び蹴りの態勢へ。
『てあぁーっ!』
 二人一体の蹴りがヨクバールの顔面に炸裂するが、少々よろけた程度であった。二人の連携はまだ続く。ミラクルがヨクバールの懐に飛び込み、ボディへのパンチの連打、そしてマジカルがジャンプして側頭への回し蹴り、それが見事に決まるが、ヨクバールはびくともしなかった。ヨクバールは空中のマジカルにパンチを叩き込む。
「きゃあぁーーーっ!」
 ぶっ飛んだマジカルは、近くのビルに叩きつけられ、凄まじい衝撃が建物の一部を崩壊させる。
「マジカル!?」
 相方がやられて隙を見せたミラクルに、黒い翼を広げたヨクバールから弾丸のように無数の羽が撃ちだされる。それらがミラクルの周囲に突き刺さり、次々に爆発した。ミラクルの悲鳴は爆音によってかき消された。噴煙が消えると、アスファルトが吹き飛ばされて穿(うが)たれた穴の中心で傷ついたミラクルが片膝をついて座り込んでいた。
「うぅ、前よりもパワーアップしてる……」
 二人のプリキュアがやられているのを、ラナはハラハラしながら見ている。
「大変だよ、伝説の魔法つかいがやられそうだよぅ」
「あれは今まで戦ったヨクバールよりも明らかに強いわ。一筋縄ではいかない相手ね」
「小百合、助けてあげようよぅ、ね、ね」
 そう言うラナの必死さが小百合に伝わった。
「そんなに助けたいの?」
「うん、うん! そりゃもう!」
 何度も頷いたラナに、小百合は少し考えてからいった。
「確かに、あのヨクバールを二人で倒すのは厳しいわ。今回は助けてあげましょうか」
「やった〜」
「ただし、条件があるわ。リンクルストーンは絶対に使わないこと」
「え? なんで?」
「なんでもよ。もし約束を破ったら、巴にいって毎週のプリンアラモードはなしにしてもらうからね」
「うえぇっ!? それはやだやだっ!」
「じゃあいう通りにしてね」
 ラナは必要以上に何度も頷いていた。
「それじゃあ」
 小百合が左手を返して出すと、それにラナが右手を近づける。
「レッツ、ゴー!」
 二人の手がつながると黒いとんがり帽子と赤い三日月のエンブレムが現れる。瞬間に二人が闇色の衣に包まれる。二人はつないだ手を後ろへ、もう片方の手を高く上げ、魔法の言葉を高らかと。
『キュアップ・ラパパ、ブラックダイヤ!』
 リリンが飛んできて小百合とラナの間に入って手を繋ぎ輪になると、三人は暗い世界へと誘われていく。
 次の瞬間に地上に現れた月と星のヘキサグラムの上に、宵の魔法つかい二人が召喚される。地上に降りたウィッチは、拳を突き上げていった。
「よーし、伝説の魔法つかいを助けにいこ〜」
「待ってウィッチ、ヨクバールはわたしたちの存在に気づいていないわ。奇襲をかければ打撃をあたえられるかもしれない」
「早くしないと二人がやられちゃうよ〜」
「このままただ突っ込んでいったら、4人まとめてやられるわよ。とにかく、わたしに動きを合わせなさい」
「うん、わかった!」
「二人とも、がんばるデビ」
 リリンの応援に、ダークネスとウィッチが頷く。二人が今立っている場所は、通りを挟んで高層ビルが向かい合っていた。ダークネスがジャンプすると、ウィッチも同じように跳ぶ。二人は鋭い角度でビルに接近し、壁を蹴ってさらに反対側のビルに向かって跳ぶ。それを何度も繰り返し、ジグザグに跳んでやがて片方のビルの屋上へ至る。二人は着地すると風を切って全速力で走り、向こうに見えるさらに高いビルに向かって跳ぶ。空中で態勢を変え、まるで地上へでも着地するようにビルの壁に足を付け、膝を曲げて力をためる。二人が見下ろす先には、伝説の魔法つかいと戦うヨクバールの姿が見えていた。
『はあぁーーーっ!!』
 二人がビルの壁を思いっきり蹴り、ミサイルが発射されるような勢いで急降下すると同時に衝撃波が起こり、ビルの窓ガラスを激しく震えさせた。
 ミラクルとマジカルの戦いは続いていた。
『ヨクバール!』
 ミラクルを踏みつぶそうと、巨大な鳥の足が上がる。かかとに付いているタイヤが高速回転しているのが何とも恐ろしい。ミラクルが後ろに跳ぶと、いまさっきいた場所に鳥の足が踏みつけられてアスファルトが砕けてめくれ上がる。そこへマジカルが突っ込んできて顔面にパンチを打ち込む。ヨクバールの動きが止まる。
「はあっ!」
 続けてヨクバールの顔面にマジカルの蹴りが叩き込まれる。この二段攻撃でヨクバールは少し怯んだ。ここで押し込んで勝負を決めなければ、かなり厳しい状況になる。二人ともそれが分かっていたので、攻撃の手は休めない。ミラクルの前にリンクルステッキが出現する。それを手に取り、ミラクルは呼びかけた。
「リンクル・ガーネット!」
 ヨクバールの足元が歪んで波が起る。
「ヨクッ!?」
 ヨクバールがバランスを失ったその隙をついて、ミラクルとマジカルは二人は同時にジャンプ。
『たあーっ!』
 二人の渾身のパンチがヨクバールのボディに衝撃を与える。それでヨクバールはたまらず後退するが、倒れずに踏みとどまった。このヨクバール、二人の大魔法が決まれば倒せない相手ではないが、魔法を使うための隙を作ることができない。
 ヨクバールの黒い翼が広がる。そして羽ばたくと、強烈な風が二人を襲った。近くに放置されている車が吹き飛ばされ、樹の陰に隠れているモフルンやビルの陰で見ていたリリンも飛ばされそうになって、必死に枝やガードレールにしがみ付いていた。何とかしたいがどうにもできない状況に、ミラクルとマジカルは苦しんでいた。その時、ヨクバールの背後にヒューンと何かが空気を裂いて迫ってくる。その音に気付いてヨクバールが振り向いた瞬間、ウィッチとダークネスのパンチが骸骨の眉間にめり込んだ。
「ヨグーッ!?」
 ヨクバールが悲鳴を上げながら派手に吹っ飛び、地響きと共にミラクルとマジカルの背後に沈んだ。ダークネスとウィッチは着地すると、それぞれポーズを決め、
「穏やかなる深淵の闇、キュアダークネス!」
「可憐な黒の魔法、キュアウィッチ!」
 ダークネスとウィッチが後ろで左手と右手を繋ぎ、体を合わせて互いの温もりを感じると、もう一方のても重ねて悩まし気に目を閉じる。二人は離れ後ろ手につないだ手を放して前へ。