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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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「魔法のポシェットだからねぇ」
「すごいわね、魔法界の技術」
 それから小百合は部屋を一つ一つ見ていく。
「お風呂に化粧台、中央のテーブルにはお茶の用意までしてあるわ」
「このソファーもふっかふかだよ〜」
 ラナはリリンと一緒にソファーに身を沈めてご満悦だった。
「至れり尽くせりね」
「ご飯は食べ放題だしね! おなかすいたなぁ」
「ご飯の前にみんなで集まって話し合いよ。さあ、行くわよ」
 リリンが後について来ようと飛んでくると、小百合はリリンを止めていった。
「あなたはここで待っていてね。絶対に外に出ちゃだめよ」
 小百合とラナが出ていくと、リリンは不機嫌そうに口をへの字にした。
「むぅ、つまらないデビ」
 小百合とラナは部屋を出ると三両目の休息スペースに向かった。そこは話し合いなどに使えるように大きな丸テーブルとそれを囲むようにある四脚の椅子、この組み合わせが二つあり、いずれの色も白で統一されていた。そのうちの一つのテーブルの前に二人が座ると、すぐにみらいとリコも入ってきて小百合たちの前に座った。全員がそろうと小百合が言った。
「まず、魔法界に行くきっかけをくれたお二人に感謝の意をのべるわ」
 それにはリコが答える。
「そんなにかしこまらないで、わたしたちが魔法界に行くついでにあなた達を連れて行くだけなんだし」
 その隣でみらいがうんうんと頷いている。
「自己紹介をさせてもらうわ。わたしは聖沢小百合よ。聖ユーディア学院中等部の3年生」
「わたしは夕凪ラナだよ! 夕凪っていうのは小百合がつけてくれたんだ!」
「あなたは昨日聞いたし」
 ラナにリコの突っ込みが入る。それからみらいとリコもそれぞれ自己紹介をしていく。一通りそれが済むと、みらいが気になっていたことを聞いた。
「ラナちゃん」
「ラナでいいよ!」
「じゃあ、ラナ。きのうものすごくはやい箒にのってたよね」
「それはわたしも気になっていたわ。良かったらあなたの箒を見せてくれないかしら?」
「いいよ!」
 ラナはマッチ棒大の箒を振って普通の大きさに戻すと、それをみらいとリコの前に置いた。それを見たリコは信じられないという目をしていた。
「これは間違いない、レーシング用の箒だわ」
「だからあんなに早かったんだね。レーシング用って初めて見るけど、わたしでも乗れるのかな?」
「とんでもない! これは誰でも乗れるような代物(しろもの)じゃないわ。レーシング用の箒に乗るためには、魔法学校の過程を終了した後に、さらに箒乗り専門の特別な学校にいって、さらにさらに試験を受けて合格しなければならないの。箒乗りの専門職は色々あって、レーシング用の箒の試験はその中で群を抜いて難しいのよ。わたしと同じ学年でレーシング用の箒に乗れるなんて考えられないことだわ」
「ラナってすごいんだね!」
「えへへ〜」
 ラナは褒められて素直に喜んでいた。その隣の小百合はにやけているラナを半ば呆れるような横目で見ている。
 その時に、リコはハタと思いついた。
「もしかして、前に街にドラゴンを召喚したのってあなたじゃないの?」
「そうだよ、よくわかったね!」
「やっぱりそうだったのね! あなたは魔法の天才よ! どうやったらあんな魔法が使えるのかぜひ教えてほしいわ!」
「わたしって天才だったんだ!? 知らなかったよ!」
 会話があらぬ方向へ飛躍していくので、小百合がついに横やりを入れた。
「大いなる勘違いをしているわ、二人ともね。ラナの箒のことはよく知らないけど、ドラゴンを召喚したのはたまたまよ。この子は箒乗り以外の魔法はまともに使えないの」
 それを聞いたリコが何か思い当たったというように少し目を見開き、それから急に神妙になった。
「……そうだったの。変な勘違いをして悪かったわね」
「いいんだよ、気にしないで」
 リコの態度に小百合は違和感を覚えた。普通ならがっかりする場面だろうが、リコはなぜかものすごく悪いことをしたような顔で謝っていた。
「話はこれくらいにして、食事にしましょう。みんなお腹が空いているでしょう」
 リコは立ち上がって言った。確かに食事時ではあるが、小百合はリコの話の切り替えに早急な印象を受けていた。
「うわ〜い、やったぁ!」
 リコの提案にラナは万歳して喜んだ。

 小百合たちが会話しているその頃、一人で暇を持て余していたリリンは部屋を探検していたが、すぐに飽きて窓の縁に飛んでいくと窓を上に押し上げて外を見た。
「星がきれいデビ〜」
「お星さまい〜っぱいモフ!」
 すぐ近くで声が聞こえて振り向くと、リリンは自分と同じように窓から身を乗り出しているクマのぬいぐるみと目が合った。二人のぬいぐるみはしばらく見つめ合っていた。

 小百合とラナが部屋に戻るとリリンの姿がどこにもないので騒ぎになった。
「リリンがいないよ!」
「きっと外に出たのよ! あの二人に見られたらまずいわ! ラナ、すぐに探すのよ!」
 二人が慌てて部屋から飛び出してリリンを探し始める。一方、みらいとリコが部屋に戻ると留守番していたモフルンが待ち構えていた。
「みらい、リコ」
「どうしたの、モフルン?」
「新しいお友達ができたから紹介したいモフ」
 とモフルンはみらいに言ってから、ソファーの後ろに隠れていた黒いぬいぐるみと手をつないで戻ってくる。
「さっきお友達になったモフ」
「ネコ悪魔のぬいぐるみのリリンデビ、よろしくデビ!」
 リリンは二人に向かって片手を上げて星型の肉球を見せた。
「いいお友達ができてよかったね……」
「へぇ……」
 みらいとリコは唐突すぎる出来事に理解が追いついていなかった。やがて二人は顔を見合わせ。
『ええええぇーーーーーっ!?』
 みらいが思わずリリンを抱き上げ、リリンの体をちょっと斜めにしたりひっくり返して背中を向けたりしながらいった。
「ぬいぐるみなのにおしゃべりできるの!?」
「なんでそんなに驚くデビ? モフルンと同じデビ」
「これっとどういう……」
 そういうリコが考える間もなく、二人の叫び声を聴いた小百合とラナが飛んでくる。中の状況を確認した小百合はとても苦い笑いを浮かべ、絶望的という顔になったが、それは一瞬のことだった。黙する小百合に相対してラナは大声をあげる。
「うわっ、見つかっちゃってる! っていうか、それなに!? クマのぬいぐるみ!?」
「こんにちわ〜モフ」
「しゃべった!? リリンと同じだ!」
 ラナが大騒ぎすると、みらいとリコはさらに慌てふためく。もはやひっちゃかめっちゃかの状況になってきた。
「こ、これは、その、えっと」
 さすがのリコもこの状況では冷静ではいられない。お互いにごまかそうにもどうにもできない状況だ。その時に、小百合がツカツカと部屋に入り、みらいからリリンを抱き取った。
「驚いたわね、あなた達のぬいぐるみもおしゃべりするのね。この子はラナの魔法で動けるようになったのよ。ラナの魔法は何が起こるかわからないから、たまたまぬいぐるみがお話しできる魔法がかかったんだと思うの。まあ、あなた達も魔法つかいなんだから、ぬいぐるみを動かしたりしゃべらせたりできてもおかしくはないわね」