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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 初めて魔法学校を見た小百合はいった。ここまでくると非常識なことばかりで目が回りそうだ。
 ラナと小百合は校門の前に着地した。そこではすでにみらいとリコが待っていた。
「二人ともごめんなさいね。勝手に外に飛び出したあげくに待たせてしまって」
「大丈夫、そんなに待ってないよ。それに、ラナが小百合に魔法界を見せたい気持ち、すごくよくわかるもん!」
 みらいが言うと、ラナが笑顔を浮かべる。彼女はみらいが自分の気持ちを理解してくれるので嬉しかった。
 小百合が前に出て校門の扉を見上げる。
「大きな扉ね」
 魔法界はナシマホウ界に比べて規格外なものが多い。その巨大といってもいい扉の中央には正面を向いている黒猫が佇む校章が描かれている。
「それじゃあ、扉を開けるわよ。キュアップ・ラパパ、門よ開きなさい」
 リコが魔法の杖を振ると、校章から猫の鳴き声がして正面から見て左下に垂れていた黒猫の尻尾が動きだし右側に振れる。すると大きな扉が割れて左右に開いていく。石畳の先の方に洋風の建物が見えた。
「さあ、まずは校長先生に挨拶しましょう」
 そういって歩き出すリコに他の者が続く。小百合が門を通り過ぎる時にリコにいった。
「ちょっとした疑問がわいたんだけど聞いてもいい?」
「どうぞ」
「箒で空を飛べるんだから、門なんて通らなくても上から入れるじゃない」
「そんなことしたら、警備の魔法つかいに捕まってしまうわ」
「ああ、そういうシステムになってるのね」
 少女達はそのような他愛のない話をしながら校長室に向かう。みらいはモフルンを抱き、小百合はリリンを抱いて歩いていた。

 扉のない校長室の前から室内に瞬間移動すると、小百合だけ「えっ!?」と驚いてキョロキョロしていた。
「みなの者、ご苦労であった」
 校長が椅子から立ち上がり小百合たちを出迎える。小百合の目の前に水晶玉の中で見た美男子が立っていた。
「うわぁい、校長先生だ〜」
 ラナがばんざいするような格好でその場で何度か飛び跳ねる。まるで幼い少女が久しく会っていない父親に出会ったかのような喜びようで、他の少女たちはちょっと喜びすぎだろうと思った。
「あなたが校長先生なんですね、ふ〜ん」
 小百合が不思議なものでもあるように校長を見つめながら上へ下へと視線を送る。
「わしに何か言いたいことでもあるのかな?」
「あっ、言いたいことはたくさんあります。今のは校長先生の姿が想像と違っていたので思わず見てしまいました」
「君の想像とは?」
「ラナから氷漬けのミカンをそのまま食べると聞いていたので、体育会系のマッチョな人かと思っていたんです」
 それを聞いたみらいとリコは思わず想像してしまう。二人の中で上半身裸の筋肉ムキムキの校長先生が力こぶを作ってにやりと笑った。
「そんな校長先生、いやだね……」
「ええ……」少し青ざめているリコがみらいに答えた。
 校長先生は愉快痛快という具合に大笑いした。校長がそんな風に笑う事は滅多にないので、みんなびっくりした。
「いや、失礼。君がおかしなことを言うものでな」
「こちらこそ失礼いたしました」
 小百合が丁寧な口調で言ってから彼女はさらに続けた。
「校長先生、こちらの世界に来ることを許可して頂きありがとうございました。改めてお礼をいいます」
 小百合は深く礼をする。小百合が頭を上げると校長はいった。
「君はここで学びたいといっていたな」
「はい! わたしは魔法は使えません。それでも魔法つかいと同じように勉強をして知識を得ることはできるはずです」
「ふうむ、魔法の杖がなければ魔法学校の生徒として認めることはできないのだが……」
 校長の話にはまだ続きがあったのだが、そこでリコが割り込んでくる。
「校長先生、小百合はとても勉強熱心なんです。ナシマホウ界からここに来るまでの間も猛勉強して、魔法界の言葉をたくさん覚えました。彼女なら魔法学校でやっていけると思います」
「そうか、成績一番の君が言うのなら間違いないな」
 リコはかつて苦手だった魔法実技の成績を10番台まで押し上げ、勉学の方は常に一番、そして総合成績でもトップクラスにまでになっているのだ。校長はそんなリコの言葉を受け取っていった。
「魔法学校で学ぶことを許可しよう」
「校長先生、不躾(ぶしつけ)ですがもう一つお願いがあります」
「なにかね?」
「わたしが今教室に入っても勉強についていくことはできません。しばらくは別の場所で一人で勉強したいんです。例えば、図書館とか」
「ならば、魔法図書館を使うがよい。それも許可しよう」
 小百合は安心して笑顔を浮かべ、「ありがとうございます!」とまた深く頭を下げた。
「よかったわね」
「リコのおかげよ」
 話が一段落すると校長は椅子に腰を下ろし、机の上で両手を組んで今まで浮んでいた微笑を消した。
「さて、連絡を受けていた重要な話というのを聞こうではないか」
 リコはカタツムリニアから校長にそういう連絡をしていたのだ。その事は小百合たちも知っていた。
「実は、彼女たちが見たこともないリンクルストーンを持っているんです」
「なんじゃと!!?」
 校長は仰天して椅子を蹴倒して立ち上がる。
「これです」
 小百合がラナからポシェットを受け取って、その中からリンクルストーンを出して机の上に置いていく。ブラックダイヤのリンクルストーンだけは出さずにポシェットの中に残し、平気な顔をしていた。
「ぜ〜んぶラナが見つけたんだよ〜。すごいでしょ!」
 校長は一瞬ラナに目を向けてからスタールビーのリンクルストーンを手に取って、真剣な目で前から後ろから横からとよく観察する。
「リンクルストーンの伝説はリコから聞きました。私たちの持っているリンクルストーンは、伝説に出てくるどのリンクルストーンにも当てはまらないようです。レプリカという可能性は考えられませんか?」
 偽物などではないと知りつつ、小百合は校長先生に聞いてみた。すると校長はスタールビーを机の上に戻していった。
「レプリカなどではない。これは間違いなく本物のリンクルストーンじゃ、強い魔法の力を感じる」
「どういう事なんですか? 伝説にもないリンクルストーンがこんなにあるなんて」
 リコが言うと、校長は分からないというように首を横に振った。
「まず、確実に分かることから整理してみよう。これらのリンクルストーンは台座の色から恐らく支えのリンクルストーン。そして魔法界には、ここにあるリンクルストーンに関する文献等は一切存在せぬ。このわしが言うのだから間違いない。しかし、リンクルストーンである以上は魔法界とは切っても切れぬ存在であるはず。それなのに影も形もない。今目の前に現れてようやく存在を認識する事ができたのだ」
 校長は顎に右手を置いてさらに考える。
「支えのリンクルストーンがこれだけあるのなら、これと対になる守護のリンクルストーンも存在するかもしれんな」
 校長がこの時に小百合のことを見つめる。小百合は平気なように見せていたが、胸の鼓動は早くなり、この人は自分たちの正体を見破るかもしれないと思っていた。そして校長が不意に微笑し、小百合は冷や汗が出てきた。