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白い闇6【番外編】

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その瞳は間違いなくあの男と同じもので、アムロはどう思っているのだろうと疑問に思う。しかし、子供のいる前で聞くわけにはいかず、言葉を飲み込んだ。
それを察したアムロは、子供にキッチンに行くように促す。
「キッチンにおやつがあるから食べておいで。ちゃんと手を洗えよ」
アムロの言葉にコクリと頷くと、パタパタと走ってキッチンに行ってしまった。
それを見送って、アムロがカミーユに向き直る。
「カミーユが聞きたいのは、俺があの子をどう思っているかってことかな?」
アムロに言い当てられて、カミーユは戸惑いながらも頷く。
「初めてシロッコに会った時、この男は人として必要な何かが足りないと思った。おそらくそれは、思いやる心とか愛する心なんかで、俺を番いにした時も俺の事なんて欠片も考えず、ただ面倒な事を見られたから、ニュータイプだから程度にしか考えて無かったと思う」
「酷い…」
「でもさ、俺がアーガマから戻った後くらいからかな、アイツに変化が起こり始めたのは…」
「変化?」
「ああ、突然俺に優しくしたり、気を使ったりしてさ。正直何かの罠かと思った。でも、俺に触れる手から伝わる思惟に嘘はなくて…本心なんだと気付いた」
「シロッコが?」
「驚きだろ?」
アムロはクスリと笑ってコーヒーを一口飲む。
そして、コーヒーの揺れるカップを見つめながら語り始める。
「最後の出撃の前…、アイツも自分の心に込み上げる感情が何なのか分からなくて戸惑ってた。そして…その感情の意味を知った時、見たこともないような笑顔で言うんだよ。俺を愛してるって…」
カミーユはただ、驚きに目を見開きながら聞いている。
「あいつがどう言う風に育って、生きてきたか知らないけど、誰かを想うとか愛されるって事を知らずに育ったんじゃないかな…」
アムロは少し笑いながらカミーユに視線を向ける。
「俺と番いの契約をした事で…初めてそう言う感情を知ったのかもしれない。それで…ようやくあいつは人間になれたんだと思う」
それは相手がアムロだったからではないかとカミーユは思う。アムロのクワトロを想う一途な心、優しさ、怒り…そして弱さ…。そんな心に触れて、人としての感情を知ったのではないだろうか…。
「アムロさん…」
カミーユは少し思案した後、戸惑いながらアムロに尋ねる。
「アムロさんは…シロッコを憎くんでいたんですよね?でもあの時…死に逝くシロッコを抱き締めたのは…一緒に逝こうとしたのは何故ですか?」
カミーユの問いに、アムロは手の中のコーヒーカップをギュッと握る。
「本当にさ…最後まで憎ませてくれたら良かったのに…あいつがあんな人間らしい感情を見せたりするから…」
一旦言葉を止め、アムロが切なげに微笑む。
「多分…俺もあいつの事が好きになっていたんだと思う」
アムロの言葉に、カミーユは息を飲む。
「それが本当に俺の感情なのか、番いと言う繋がりから来るものなのかは分からないけど…。間違いなく俺はあいつを想ってた。だからこそ、あの子を愛する事が出来る。あの子には…あいつの分まで人を愛する心、慈しむ心を知ってもらいたいんだ」
キッチンに居たはずの子供が、リビングのドアからこっそりとこちらを覗いていた。
まだ幼い子供に、今の会話が全て理解できていたとは思えないが、母親が自分を愛してくれていると言う事は解ったのだろう。
アムロに向かって駆け寄って来る。
それを、アムロも両手を広げて受け止める。
「おいで」
アムロの首に抱きついて、子供が嬉しそうに頬を擦り寄せる。そして、小さな声で子供が呟く。
「まーま」
「え!?」
その声に、アムロが驚いて子供の顔を見つめる。
「お前…今…喋っ…」
そんなアムロに、子供は満面の笑みを浮かべてもう一度声を出す。
「まーま」
「ああ!」
初めて話す我が子に、アムロは驚きと共に歓喜の声を上げる。
それを側で見て居たカミーユは、一緒に喜ぶと共に、アムロに抱き締められて喜ぶ子供から、微かにあの男の気配を感じる。
『え?まさか…な』
しかし、例えそうだとしても、今度はアムロから愛情を充分に受けて、人としての感情を持った人間として生きて行けるだろう…。
そう思い、カミーユはそれをそっと心の中に仕舞い込んだ。

「カミーユ、ゆっくりしていけるんだろう?」
「え、ええ」
「それじゃ晩飯食っていけよ、それにここからじゃ近くの宙港まで行くのに半日は掛かるから、今日はこのまま泊まっていくといい」
「良いんですか?」
「もちろん!来客なんてほとんど無いから大した事は出来ないけどな」
「そんな!それじゃ…お言葉に甘えます」

その夜、三人は食卓を囲み楽しい夕食の時間を過ごした。
戦時中、アムロとは敵としてしか接した事が無かったが、同じニュータイプだと言う事と、メカ好きと言うことから、二人は直ぐに意気投合して、夕食後もお酒を片手に盛り上がった。
子供を寝かしつけると、リビングから繋がるウッドデッキのテーブルセットへと移動し、夜風に当たりながら二人でグラスを傾ける。
そして、星の瞬く宇宙を見上げながら、アムロがポツリと呟く。
「カミーユ…、今日俺のところに来たのは…近況を確認する為だけじゃ無いんだろ?」
その言葉に、カミーユは一瞬驚いた顔をして目を伏せる。
「…はい」
「あの人が…動き出した?」
「……」
「ふふ、気を遣わなくても良いよ。地球に居てもさ、何となくあの人の気配は感じるんだ」
「アムロさん…」
「地球連邦に幻滅したあの人は…新たに対抗組織を立ち上げて、真っ向から対立するつもりかな…」
「まだそこまでは…ただ、水面下で何かしらの準備を進めているのは確かです」
「そうか…」
アムロはカランと音をさせながらグラスを揺らす。
「あの人を追い詰めてしまった責任は俺にあるから…、もしもブライトが俺を必要だと思ってくれたら…いつでも連絡してくれ」
アムロは真剣な瞳でアムロを見つめる。
「そんな…貴方が責任を感じる事なんて…」
「でも事実だよ。俺があの人の手を取れなかったから…」
「アムロさん…」
「もう随分とモビルスーツに乗ってないから役に立つか分からないけどさ、もしもの時は声を掛けてくれよ。それから…」
アムロは席を立つと家に中に入っていき、何やらファイルを持って戻ってきた。
「その時はさ、これを用意してもらう様にブライトに伝えてくれ」
アムロがカミーユに差し出したのはモビルスーツの設計図と仕様書。
そこに記入してある機体の型式番号は、“RX-93”名称は“νGundam”。
「これは…」
「ガンダムのニュータイプ専用機の設計図。3ページ目にあるのはフィンファンネル。ハマーン・カーンのキュベレイに装備されていたものを少し改良したんだ」
「凄い…これを…アムロさんが?」
「まぁ、時間はいっぱいあったからね」
自身もZガンダムの設計に携わった事がある為、この設計図がどれだけ凄いものなのか分かる。それに、アムロが一年戦争当時に搭乗していたガンダムや、グリプス戦役時に搭乗していたMSはニュータイプ専用機では無かったが、それでもあれだけの戦果を挙げる事ができたのだ。そのアムロがこのニュータイプ専用機に搭乗すれば、今まで以上にアムロの力を引き出せるのは間違いない。
作品名:白い闇6【番外編】 作家名:koyuho