二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

女体化ジルヴェスターの災難~ドレッファングーアの暇潰し~

INDEX|12ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

帰還と記憶と秘密 1



 3日目。時の東屋を中心に巨大な魔力が現れたのを感知する。過去勢と関連領地の人間が集まる。
 あっという間だった。別れの言葉も交わせぬ内に、彼等は過去に戻ってしまった。

 そして、未来側となる今の者達の頭に、突如として記憶が蘇った。

 「おおおおっ!!! 思い出しましたぞっ!!!」
 叫ぶダンケルフェルガーの面々に隠され、目立たなかったが、エックハルトもユストクスも消えていた記憶を取り戻す。
「聞いていたのに、私はハイデマリーを守れなかったのか。」
 愕然とするエックハルトに、ユストクスもキツく目を閉じる。
「…仕方あるまい。未来の情報は過去に持ち帰れぬ。過去の者にはこれから幾らでも変わる可能性があったのだ。あの時点で読み取れなかった事こそが落ち度だったのだ。間違えてはならない。」
 冷静に諭しながらも、フェルディナンドが酷い顔色をしているのが分かったローゼマインが心配そうに見上げる。
 会話が聞こえた訳では無かったが、その様子を見ていたエーレンフェスト勢は、ジルヴェスターの自分達が出る幕では無い、ローゼマインに任せようと言う言葉に、その場を後にした。

 …記憶は戻るモノだったのか…。

 ジルヴェスターが内心で呟いた苦々しい響きには誰も気付かないまま。

 アレキサンドリアに帰ったフェルディナンドが、寝食を忘れ、研究している。余りの悲壮感にライムントが驚愕と心配に支配される。
 研究を楽しそうに行う何時もとは全く違う姿にローゼマインが首を捻る。手伝うライムントが言うには、ある魔方陣を破壊する魔方陣を作っているらしいのだが…。
「その魔方陣が凄いのです。発動させるのがかなり難しいのです。」
「難しいとは、魔力がかなり要ると言う事ですか?」
「はい。多分、フェルディナンド様でもかなり回服薬が必要ではないかと。」
「それでどう言う魔方陣なのですか?」
 ライムントが描いた魔方陣は、かなり複雑な魔方陣で、それこそほぼ全ての神々の名前がある。しかも複数の魔方陣がオリンピックのマークの様に重なりあっている。
 1つの魔方陣で何もかも行うより、複数の魔方陣に分ける方が魔力節約になるが、それなら魔方陣は1つ1つ独立している筈だ。詰まりこれは。
「単純に纏まらなかったから、ですか。」
 内容を読み取っていると、ローゼマインは気付く。
「これ…、養父様を女性にした魔方陣では…。」
 その出来映えにぎょっとする。余り考えていなかったが、普通魔力を通さなければ、魔方陣はその力を失う。だがジルヴェスターはずっと女性のままだ。詰まりジルヴェスターを女性にした魔方陣は、その力を失っていない、と言う事だ。破壊する魔方陣、とはそう言う事だろう。
 ローゼマインはグルトリスハイトを出すと、永続的に続く魔方陣を探してみる。
「あった…。」
 見比べてみると、魔方陣の一部分がそれだった。どうやら周囲の魔力を、それも魔方陣の維持に役立つ魔力以外を選別して、吸い取る様だ。しかし発動や維持に掛かる魔力が多いモノである程、この魔方陣では支えきれなくなるらしい。礎に使用すれば、瞬く間に役立たずになるだろう(礎に込める魔力ではなく、礎自体の魔力に干渉する為。礎その物の魔方陣は、神様が作ったモノで、新たな境界線を引くのは決して簡単では無い、と言う設定)。
 だがこの魔方陣が決して小さな魔力で済む訳ではなく、用量的に役立たずにならずに済むには、ギリギリな所だろう。フェルディナンドが回復力を必要とする、と言うのは間違いない。