女体化ジルヴェスターの災難~ドレッファングーアの暇潰し~
素材と情報 2
「ローゼマイン…、突っ込みたい処は他にもあるが、何処からジルヴェスター様が出て来たんだ?」
「嫌ですわ、エックハルト兄様。アレキサンドリアにいながら、養父様のお仕事を手伝っている事を私が知らないとでも? 口や手を出そうものなら、途端に機嫌が悪くなり、『この仕事は私がやると決めたのだから、君は触るな』と独り占めする構えを見せる事まで、存じておりますのに?
全く…、エーレンフェストでのお薬に頼った徹夜続きの過労の原因がやっと見えたと思いましたのよ?
そうやって自分に頼って欲しくて、頑張った結果、度が超えて、養父様を堕落させてしまい、御自分も大変な目にあってただなんて…。呆れ果てましたわ。」
「いや、それは、其方が…。」
規格外の常識無しのローゼマインと規格外の常識外れのフェルディナンド。そして2人が望む方向性において、優秀過ぎる信望者。普通に考えて、彼等が行う政治は問題だらけだ。何せ基準がその他大勢にとってはすっとんきょうな上、レベルが高い。何とかついていきながらも、脱落するしかない普通より少し上の能力を持つ人間が手綱を取れたら良かったのだが、首脳陣がアーレンスバッハの貴族にそこまで信頼出来ない。
早々に頭が痛い事案が幾つも出来ていた事実に気付いたのが、祈念式の時期。直ぐにフェルディナンドに問うたが、私が何とかするの一点張りだ。
事態の不味さに漸く気付いたローゼマインはこのままだと破綻するとばかりに、経験者にアドバイスを貰う事を決めた。…勝手に。
斯くして彼女は転移陣を作動し、エーレンフェスト近くまで行くと、騎獣(魔石恐怖症はもう改善している)を取り出すと、エーレンフェストへ入り、オルドナンツを飛ばし、ジルヴェスターに今すぐ会いに行く旨と、自分の居所を告げたのである。
因みにジルヴェスターからは「転移陣を作動させるから、そこから来い、馬鹿娘」と返ってきたのであった。
こうしてアレキサンドリアの内政について、アドバイスを貰う代わりに、ジルヴェスターが苦手な分野をフェルディナンドが押し付けられる関係が出来上がったのであった…。
フェルディナンドがローゼマインに手伝わさせないのは、どんな発想が出てくるか、分からないからである、と言うのが、事態を知る者達の見解なのだが、元凶のローゼマインが理解していない。
今のエックハルトは文句を飲み込んだ。言っても無駄と思ったからだった。