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女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・前編~

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かくれんぼの終わり 1



 さて、そんなこんなで数年経った。アレキサンドリアが出来た。私は領地を移動して、エーレンフェストの、ギュンター一家の近くの森の一部に隠れ住んだ。
 物語は私が最期を知らない番外編へと移行している。舞台は貴族院だ。だからエーレンフェストに来た。本好きの下剋上読者にとって、ジルヴェスターファンにとって、聖地だからだ。
 さて、ハンネローレはヴィルフリートと一緒になるのだろうか。エーレンフェストに居ながら、貴族院を覗き見していたが、少なくとも領地対抗戦を迎えていても、発展はしていない様だ。原作とずれているのか、それとも順当なのかは分からない。ただジルヴェスターを悪く捉えているままなら、ヴィルフリートと一緒になるのはイヤかも、と思っている。
 ハンネ視点じゃあ、ジルヴェスターを悪く思ってしまうのは無理無いけれど、そのままでジルヴェスターを舅にして欲しく無いなあ、と思っているからだ。

 そんなある日、夢を見た。

 「隠れるのはもうお止めなさい、少しの間、魔力を封じさせて貰います。」

 神々しい声が響く夢だった。

 慌てて目を覚ますと、まだ真夜中だった。魔術の効果が全て消えていた。新たに魔術を使う事も出来ない。
(え、え、何で?)
 暫く魔力を捻り出そうとしていたが、全くダメだった。必死になっていた私は近付く気配に気付かなかった。
「ライト!」
 気が付かぬまま、取り敢えず灯りをと、適当に作った呪文を唱える事を繰り返していると、魔力が戻り、術が発動した。ホッとした時――、
「其方は何者だ?」
 声が聞こえた。振り返るとソコには騎獣に乗ったジルヴェスターが居た。
「ジルヴェスター!!?」
 ピクリ、と眉が動いた。あ、ヤバイ。
「私が誰か分かっているのか?」
 逃げたかったけど多分神様が許してくれない。
「はい…。御無礼、御許し下さい。アウブ・エーレンフェスト。」
 態度を変える。怜奈が受けていた教育と貴族社会の覗き見で、礼儀作法は自信がある。
 ジルヴェスターの目が一瞬だけ見開き、上から下へ視線が動く。
「申し遅れました、私はアリスと申します。」
 私は普通の平民の格好をしているから、ジルヴェスターは何故、こんなに礼儀作法がしっかりしているのか、と疑問なのだろう。
 因みに関係ないけど、隠れ住む私の服の調達は盗みだ。
 それはともかく。ジルヴェスターは平民の無礼に一々怒ったりはしない。ただし何も知らなければ、の話だ。一目でジルヴェスターの名を叫んだ私が何も知らない訳が無いと、最低限の態度を求められた筈だ。
 だから私は直ぐ様、答えた。だけどそれはジルヴェスターが儲けた最低限を越えるモノだったのだろう。
 ユストクスの様な変わり者を思い付いたとしても、それならジルヴェスターを呼び捨てるうっかりをするとは思えない。
 諸々の疑問と不審の中、ジルヴェスターは私を値踏みしている、と思う。