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女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~

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交換条件 1



 ジルヴェスターの姿が周知されて行く程に、私の能力の疑いがどんどん晴れていく。魔力圧縮も申し込みが増えている様だ。そしてそれに従って、女性が着る紳士服と言う名目で、キュロットズボンが流行り出す。流石ブリュンだ。
 私は流行りについて話したいと言うと、ブリュンは喜んで会ってくれた。しっかり条件は付けるけど。
 盗聴防止と読心防止を兼ねた、特殊な結界を張った。口元だけ、モザイクが掛かる仕様になっている。これも魔術具にする積もりだ。――密談が始まる。
「ブリュンヒルデ様、単刀直入に、ええ、お貴族様用語なしに御尋ねします。怒らないで戴きたいのですが…、貴女様はまだ処女ですよね。」
「!!!」
 みるみる内に顔が赤く染まっていく。ビンゴ。ブリュンの普段の様子から察していたが、間違い無い様だ。
「アウブはフロレンツィア様お一筋の御方。ライゼガングを纏める為、女としてではなく、同志として貴女を娶った。アウブにとって、貴女はカルステッド様と同じ様な存在。男として愛する対象では無く、フロレンツィア様命のジルヴェスター様にとっては性欲の対象にもならない。…違いますか?」
 顔は赤いままだが、私を見つめる目は真剣だ。羞恥の感情に振り回される器では無いのだろう。
「何を聞きたいのですか?」
「もし、貴女がジルヴェスター様から愛されない生活でも構わないと仰せなら…、私と手を組みませんか?」
「私に…、流行発信の勤めをくれるのですか?」
「ええ。ただしアウブと今の関係を続けるお積もりならの話です。崩れれば、その時点でエルヴィーラ様に鞍替えします。」
「…現状の派閥を理解しているのですね。」
 私は軽く肩を竦めた。およその推測も混じっているが、情報を集めた結果、小説では書かれていない事実を私は掴んでいた。
 エルヴィーラは元はライゼガングに属する派閥だった。しかしローゼマリーとはライゼガングの中で別の派閥に属していた。恐らくライゼガングの中では、場合によってはヴェローニカ派に入っても可笑しくないと捉えられた、中立派閥だった。
 そしてトルデリーデに味方した事で、ライゼガングからはヴェローニカ派閥に与したと見られていた。故にトルデリーデに乗っ取られずに済んだのだ。