女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~
交換条件 2
だがその後、エルヴィーラはフロレンツィア派閥を作った為、ヴェローニカからは様子を見られていた筈だ。派閥を作った様に見せ掛け、フロレンツィアを監視していると見做す人間が居た事を思えば、その建前でフロレンツィアを守っていたのだろうが、疑い深いヴェローニカは恐らく、排除出来る体制を整えてはいたのだ。
それがヴィルフリートへの教育放棄。
主要目的はヴィルフリートを傀儡にする事だったろうが、副次目的には入っていた筈だ。
ヴィルフリートの側近はヴェローニカの顔色を伺う者ばかり。詰まりヴェローニカには信用されていなかった筈だ。…何時でも切り捨てられる人員だった。
御披露目の失敗要員として。
ランプレヒトはエルヴィーラへの人質だ。エルヴィーラが敵に回るなら、ランプレヒトを切り捨てる事で、エルヴィーラを崩し、トルデリーデに家に乗っ取らせ、フロレンツィアを押さえ付ける。いや、もしかすれば、暗殺の危険性もあった。
エルヴィーラが敵に廻らなければ、庇護の付いたランプレヒトを守り、エルヴィーラを遣い、フロレンツィアを失脚させ、場合によっては、その後に暗殺する予定だったのかもしれない。
計画としては見事だが、誤算が1つあった。それはヴェローニカ自身気付かぬ、自身への驕り。彼女はジルヴェスターが自分を裏切らないと思い込んでいた事だ。
ジルヴェスターが仕事放棄する時間が出てきたのは、調査した結果、ローゼマリーの親族が増長し始めた頃であり、フロレンツィアはヴィルフリート妊娠時期だったと思われる。
恐らく彼は、ヴェローニカに生まれた子が男子なら、養育を任せる様に言われていた筈だ。フェルディナンドが神殿に行った為、次はフロレンツィアと狙いを定めていた可能性がある。ジルヴェスターはフロレンツィアを守る為、ヴィルフリートの養育を任せ、彼女にエーレンフェスト内で力を持たせる為の相談をしていたのでは無いか。カルステッド経由で事情を知ったエルヴィーラが協力したのでは? そう考えれば説明が付く。
恐らくジルヴェスターは、領内の安定の為、中庸を守りたかったのだろうが、妻か母かどちらかを、と言う事なら妻を取った。そうでなければ、母親の反対を押し切る事は無かったろう。もしヴェローニカの策通りに事が運んだら、それを理由に切られた筈だ。次期アウブを歪めたと言う理由なら、ゲルラッハを初めとするヴェローニカ派閥も納得した筈だ。改めてジルヴェスター派閥に属したろう。フロレンツィア派閥と協力出来れば、より強固になった筈だ。
ただヴェローニカがジルヴェスターの裏切りを予測出来なかった様に、ジルヴェスターもヴェローニカがヴィルフリートを歪めるとは思って無かった筈だ。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~ 作家名:rakq72747