女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~
交換条件 4
ブリュンヒルデはエーレンフェストの貴族として、ローゼマインの側近になった。だからこそ、ローゼマインの近くに居れば、領地内が見えない事に気付いたのだ。
結局、ローゼマインに残ったのは、領地よりローゼマインを見る者ばかり。忠誠心は高いが、それだけで領地運営が出来る訳では無い。アレキサンドリアがどうなるかは、その自覚を持って、領主を支える有能者がどれだけいるかに掛かっている。ローゼマインとフェルディナンドだけでは領は纏まらない。
…まあアレキサンドリアについてはどうでも良い。私が居るのはエーレンフェストだ。
ブリュンヒルデが第2夫人になったのは、エーレンフェストの為、ジルヴェスターの為、エーレンフェストで生きるローゼマインの為だった。そこにはローゼマインがエーレンフェストから出る予定等無かった筈だ。予想外な事が全く起こらない訳では無いから、状況判断を誤っただけと言えばそうだろうし、裏切りと言えばそうだろう。
ブリュンヒルデがローゼマインを裏切ったと言う見解が二次ではあったが、私の考えでは逆だ。ローゼマインがブリュンヒルデを裏切ったのだ。
尤もこれは裏切りと言う観点で見ればの話だが。
とにかくブリュンヒルデの現況はヤヤコシイ。ローゼマインがエーレンフェストを出る事で、彼女の立場は予想と大きく覆った。
ローゼマインが居る頃は、ブリュンヒルデは単なる調整役だった。彼女はローゼマインと共に流行りを作る事で力を付け、ジルヴェスター達を助け、ライゼガングとの橋渡しになるつもりだった。
けれどローゼマインを出た後では、力を付ける方法が変わる。ハッキリと言えば、子供を作るしかないのだ。そしてそうなる事をフロレンツィアに警戒されている状態だ。
フロレンツィアの実家はエーレンフェストより下位で、ライゼガングの後ろ楯より弱い。一応、後継ぎは第一夫人の子となっているが、絶対ではない。ブリュンヒルデの子が出来れば、必ず争いが起きる。例えブリュンヒルデにその気が無くとも、だ。
ブリュンヒルデが望み通りに生きるには、子作り以外で力を付ける事が必須なのだ。
だから私が力を貸す。代わりに私はブリュンヒルデに後ろ楯となって貰う。それを旧ヴェローニカ派と迎合させるのだ。
何の為か。ヴィルフリートを次期アウブにする為だ。建前だって用意するし、ヴィルフリートをその気にさせる自信はある。シャルロッテにはダンケルかドレヴァンに嫁いで貰って、メルヒオールには王候補になって、中央に行って貰う。
自分の為に。
それらをエーレンフェストの為にして見せる。
ローゼマインの影響から離れ、エーレンフェストは女神に捨てられた領地では無くなるのだ。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~ 作家名:rakq72747