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女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~

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貴族院での生活



 ヴィルフリートによる挨拶が終わる。ヒルシュールは帰る準備をしている。そこに待ったを掛けたのは私だ。
「ヴィルフリート様、お願いが御座います。」
 挙手して注目を引く。ヒルシュールも手を止めなかったが、足は一応止めた。
「何だ?」
「これからの御健勝の為、祝福を行う時間を下さい。」
 私が祝福を行える事は知っている。ヴィルフリートは却下しなかった。
「それでは始めます。」
 前に出て、ヴィルフリートの横に立つ。原作知識と身に起こった事から考えるに、祝福には2種類ある。一時的に能力を上げるか(治癒は肉体の回復力を上げると考える)、永続的に才能を底上げするか、だ。
 私が掛けるのは両方だ。重ねる事で一時的に上がった能力を才能で維持させる。それにより本物の実力になる。ドーピングによる強制能力底上げだ。
 勉学、運動、社交、芸術、魔力圧縮(まだ教えられていない者が多いので)がとにかく他領を圧倒する様に。
 視界が眩む程の祝福はヒルシュールを虜にした。私は彼女の傍で秘密裏に魔術具を作り始めたのだ。

 ローゼマインと同じ夢の持ち主、と言うのは充分にアレキサンドリアに興味を持たれた。この年、エーレンフェストは全員一発満点合格を迎えている。筆記だけでなく、様々な実技もだ(因みに私の騎獣は車そのもの、飛び方はバック・トゥ・ザ・フューチャー、用途で内外装変更可、普段は腕時計で常装備、歌いながらの祝福同様、評判大)。故に余裕を持った社交になる。
 ローゼマインは私に興味津々で、シャルロッテはそれをニコニコと見守っている。ヴィルフリートは一歩引いた様に私達に目を配っている。
 …今の研究に突っ込まれたくないんだよね…。
「そう言えば何故、アンパンマンマーチを恋歌に?」
 取り敢えず遠避け作戦を決行した。