女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~
領地対抗戦 3
女性になって貰ったジルヴェスターが、服のサイズが合わなくなり、人前に出れなくなるのは予想済だ。
だから前以て色々用意していた。とは言え、貴族の常識を思えば、計れないのにドレスを注文する訳には行かない。用意していたのは今、着ている服で、行動可能にする為のモノだ。
「ではマントを1度外しますよ~。」
しっかりジルヴェスターの側仕えに手伝って貰う。本来、異性の仕事では無いが、現在、どっちが異性になるのか判断が付かないらしく、男女で世話をしている形になるが、誰も文句を言わない。
ゆったりに出来ている前開きの服の、アンダーから下の留め釦を外し(服は着たまま)、裾を左右から裏に折り曲げて行く。
背中側の折られた部分が皺にならない様に気を付けて、気を付けて貰いながら、アンダーより上の位置へ入れ込む。
…この時点で身長差があるので、台に変型させた騎獣を使用している。何とも言えない視線は無視だ。
裾を前で受け取ると、胸の――乳房の下、アンダーラインで固結びをする。解けない様に。
「上の釦外して、手を入れますよ。」
宣言した通り、胸から上の釦を外すと、その下に着ている分厚目の肌着の中へ手を入れた。当然下は素肌だ。
「ま、待て! 幾ら何でも「動かない! 女性用の下着を着用したいのですか?」…わ、分かった。」
と、言うか胸のサイズが解らないのに用意している訳がないけどね。私は簡易ブラに乳房を綺麗に納めていく。
「Dカップ…、いや、E、かな。」
「は?」
前世の私より大きい。疑問符は無視。
「じゃ、グミモーカの素材を使いまーす。」
「グミモーカ?」
これも森で探し当てたモノだ。魔力で染めて、ちょっとしたシュシュの形に変えている。ギルベルタから入手した布を上から縫い合わせている。量産出来る目処はまだ立っていないので、自分で作った。
これをずれ落ちない様に、ウエスト位置で側仕え手伝いの人力で、上げられていたズボンを止めるのだ。ウエストの余った部分を掴み、捩じ上げて、それをシュシュで括る。色は黄色だ。エーレンフェストのマントに合わせている。下手に見られれば、ドレヴァンヒルで研究されそうだ。何れは売り出す予定なので、現段階でのそれは後免被る。
「これ…、髪を括るのにも使えるのでは無いか?」
「ドレヴァンヒルから素材を大量輸送する術がある訳では無いし、グミモーカを育てる準備も出来ていないので、まだまだ人に見せないで下さいね。これ、隠れる予定なので。」
「む…、処で肩が重いのだが。」
「それだけ胸が大きいのですよ。並みより大きいので、余り女性の前で言わない方が宜しいですよ。」
「………。」
次に取り出したのは、これまたマントと同じ色の、レースの生地だ。かなり大きめの生地で、それでジルヴェスターのアンダーからズボンを止めたウエストの位置を覆って行く。余った部分はズボンに捩じ込み、捲れて外れない様に、着物の着付けで使うタオルの様にした。これで服の下の白い肌着が隠れた。レース状にして貰っている為、可笑しさは全く無い。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~腐女子の養女・後編~ 作家名:rakq72747