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女体化ジルヴェスターの災難~養父と母と娘~

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洗礼式



 試してみた。地面に魔法陣を書けば、魔術が使える。身食いはこれで対処出来る。森に行けば、もっと遣りやすいだろう。家族がいない時間を利用している今よりも。
 取敢えず、どうすれば元の世界に帰れるかを調べる為に、少しでも情報を集めなければ。
 …知識にある、下町の乱暴な言葉使いをしなければならないのは地味に苦痛だ。それ以上にローゼマインと離れているのはもっと苦痛だ。
 …まるでこの世界のマインの居所を奪った様で気分も悪い。
 ささくれ、焦る私だが、過ぎ行く時間は止められない。数日が過ぎ、私は洗礼式を迎えた。
 今日までに分かった事。ルッツについて。私の知るルッツとは違い、この世界のルッツは、父親や兄達を尊敬し、立派な職人を目指している。トゥーリとラルフは将来を考えられているくらいに親しい。
 何より、ここはエーレンフェストではなく、アイゼンライヒだった。

 神殿に行くと、私は僅かに目を細めた。ベーゼヴァンスがいる。着ているのは青い神官服。立場は神殿長ではなく、神官長の様だ。
 そして次の瞬間、小さなざわめきが広がる。
「小さい…。」
 魔術具の為、大きな声が出ないのだ。だが私の驚きにはどうでも良い。神殿長として姿を現したのはローゼマインだった。
 やがて彼女の祝福が舞う。その瞬間、まるで同調する様に、私の魔力が暴れ出す。
 圧縮が間に合わず、そのまま自分の肉を食い破る勢いを自覚し、私は気を失った。