女体化ジルヴェスターの災難~養父と母と娘~
アイゼンライヒの神殿にて 2
「御機嫌よう、ジルヴェスィア先生。」
待て。ローゼマインの様子伺いに来る上級貴族…、どう見てもジルヴェスターではないか!!
…ここではジルヴェスターは女性なのか。確かにアレが女性であれば、こんな感じの美人かも知れぬ。
初対面の挨拶をした私の内心は酷く狼狽えていた。
ローゼマインがジルヴェスター、いや、ジルヴェスィアと過ごす時間、私はベーゼヴァンスと2人だった。
…それにしてもジルヴェスィアの立場はどうなっている? ローゼマインの話だけで、上級貴族だと思っていたのであって、確めた訳では無い。…領主では無い…、にしても領主候補生でも無いのか?
ふと私は気付いた。何かを思い詰めている様なベーゼヴァンスに。
「ふむ、これで良いか…。」
夜。私は自分の指を噛み切り、血で書いた魔法陣を見て、満足する。後でヴァッシェンの魔法陣を書いて、綺麗にすると言う後始末をすれば、魔術を使った証拠は残らない。
ユルゲンシュミットが魔力に満ちた場所だからこそ、出来る事だ。私は隠し部屋の寝台の上で、ベーゼヴァンスより贈られた寝具に書いた魔法陣に魔力を注ぐ。そして私は透明になった。
隠蔽の魔術の、更なる応用である。そして昼にローゼマインより贈られた騎獣用の魔石を使い、誰にも見咎められる事なく、壁を通り抜けた。目指すは城。この世界にある、魔術の本を探す為に。元の世界に戻る為に。
作品名:女体化ジルヴェスターの災難~養父と母と娘~ 作家名:rakq72747