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女体化ジルヴェスターの災難~養父と母と娘~

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悍しい事実



 それから私は調べに調べた。主に会話を盗み聞きすると言う方法で。そして知った。許されざる事を。
 …ジルヴェスィアはやはり領主候補生だった。貴族院にて出逢ったフロレンツィド――この世界のフロレンツィア様だろう――と言う男と星を結ぶ予定だったらしい。それが破談になったのは………、先代アウブ・アイゼンライヒとその夫人――此方の父上とヴェローニカ(男女逆転はしていない様だ)だ――と第2子で長女で、上級に降嫁していたコンスタンツェ様の一家――此方と違い、領地内に残った(性別転換は無かった様だ)――が1度に高みに昇られた事が原因らしい。ジルヴェスィアは冥福を祈りたいと神殿入りを希望したのだと言う。
 神殿に入るのは独身者だ。本人の気の済む様にさせて、頃合いを見てから貴族社会に戻すとしても、その間、婚約者に星結びを待つ様に、と願うのは有り得ない(ハルトムートとクラリッサが異常なのだ)。
 …だがこれは建前だ。高みに昇った理由は毒殺だ。ゲオルギールが邪魔者を消したのだ。

 そう、ジルヴェスィアを、同父同母の妹を女として、自分のモノにする為に。

 無理矢理に冬を迎え、他の男に嫁がせぬ為、神殿に入らせた。今は近付く事も許されない元・側近達の命を人質に。

 …そして…、ローゼマインが産まれたのだ。

 同父同母の兄妹の間に産まれた、禁忌の子供。あの虚弱体質は血が近過ぎる故の弊害だろう。
 ローゼマインに探りを入れてみれば、彼女は何も知らない事に気が付いた。ジルヴェスィアはローゼマインに真実を教えていない。けれど接し方は愛情に溢れている。
 …どんな経緯で産まれても、我が子が愛しいのだろう。それが最大の弱味になっている。
 彼女の身の安全、主治医(医学に詳しい者が居ないから)の斡旋、貴族院に通う為の後見探し等、ローゼマインの為に動いて貰う事を対価に、ゲオルギールの命令通り、未だに城の一室で、神殿来訪以外は監禁されている。そして彼の望み通り、足を開く。
 ゲオルギールのジルヴェスィアに対する異様な執着は、城の中に居る貴族は誰もが知っている。
 ゲオルギールの信を置かれたカルステッドの息子達3人が主になって、ジルヴェスィアの警護と監視を交代で行い、側近にはリヒャルダとユストクスを中心に置いている。ジルヴェスィアが信を置く人間ではなく。
 ゲオルギールは避妊具を使ってジルヴェスィアと冬を迎えている。ローゼマインの他に子供が出来ても、邪魔なだけなのだろう。これが真実のエーヴィリーベなのか。私の腸は煮えくり、激っていた。