神殿長ジルヴェスター(4)
ああ~、疲れた。肩が凝る。ずっと字ばかり見ていたからだ。そろそろ体を動かしたい。
「失礼します、神殿長。」
「ギルか、どうした?」
おお、良い処に!!
「デリアがエグモンド様より押し付けられました。」
ガクッ。
「…孤児院長室にエグモンドが現れたのか?」
何をしているのだ、あやつは。
「いいえ、流石にそこまで神殿長に逆らう事はしないでしょう。デリアだけです。」
「ほう。」
「曰く、平民のマイン様が常識も分からず、神殿内を闊歩する様を見張り、エグモンド様に報告するのが仕事で、側仕えをしに来たのでは無い、と。」
溜め息を吐く。
「デリアをエグモンドの元に連れ戻す。ギル、供をせよ。」
直ぐに孤児院長室に動こう。私が庇護すると見せ付けてやろう。マインの為だ。仕事に飽きたからではない。
「畏まりました。ただマイン様はデリアをそのままお召し上げになる様ですが。」
「「「は?」」」
私だけでなく、他の灰色までもが声を上げた。無理もない。明らかなる敵意を向けられ、何故、そうなるのだ?
「マインはどう言うつもりなのだ?」
「マイン様は『デリアを召し上げて宜しいでしょうか?』と尋ねておられました。理由はお話しになられておりません。」
「分かった…。まずはマインとの意志疎通だな…。」
奇異であるのは分かっていたつもりだったが。
「畏れながら、神殿長がマイン様とお話しになられている間、此方も少休憩とさせて頂きますね。」
「何ぃ!?」
マインと話している間に進めていて欲しいのにっ!!
「お早くお戻り下さい。」
くっ、マインと話し終わった後、寄り道が出来ぬっ!! くそうっ!!
作品名:神殿長ジルヴェスター(4) 作家名:rakq72747