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神殿長ジルヴェスター(10)

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 家で、家族揃っての食事の前に、ルッツを含めて話をする。
「突然なんだけど…、ホントに突然なんだけど! マイン公房が領主様のお墨付き事業になりそうです。」
「は?」
 ルッツはポカンとして、私を見てる。
「ちょっと待て。領主様ってどう言う事だ? 何でそこまでのお偉いさんが出てくる?」
 父さんがひくひくしながら聞いてきた。母さんとトゥーリは息を呑んでる。
「神殿長の弟さんが領主様なの。」
「あの人、そんなに偉かったの?」
 トゥーリの頭の中には、あの親しげに話してくれた神殿長がいるに違いない。
「うん。本人が希望して神殿に入ったけど、本来なら貴族社会でバリバリ働いてた人だって。領主様としては、神殿から戻したいみたいだよ。兄弟仲は凄く良いみたい。」
 ちょっと過ぎるけど。
「でね、ルッツ。」
 まだ停止してるルッツを呼ぶ。
「あ、ああ!」
「多分、近い内に領主様からベンノさんに内々で話があると思うんだよね。」
「分かった、旦那様に知らせたら良いんだな。」
 直ぐに私の言いたい事に気付いたらしい。私は頷いた。

 ルッツが帰った後、家族だけになって、私はまた口を開いた。
「あのね、さっきの話なんだけど、続きがあるの。」
「? 何だ、ルッツに言わなくて良かったのか。」
「ギルベルタ商会に知らせるには、まだ早いから。」
 ホントは知らせないでいたいが正解だけど。でも家族には、一緒に覚悟を持って欲しいから。
「あのね、領主様から愛妾にならないかって言われたの。」
「「「はあああああっ!!!!????」」」
 3人の叫びが重なる。
「許さんぞっ!!!! 幾ら領主様でもマインを愛妾だとっ!!!! 何人も妻がいるくせにっ!!!! 結婚も許さんが愛妾はもっと許さんっ!!!!!!!!!!」
「父さん、落ち着いて。私ちゃんと断ったからっ!!」
 断れなかったけど。
「そ、そうか…。だが申し込んだ事が許せんっ!!」
「うん、あのね、父さん、聞いて。」
「あ、ああ…。」
「貴族は魔力を持ってるけど、その強さは人それぞれで、魔力の強さが釣り合わないと子供も持てないんだって。
 領主様は魔力が強すぎて、釣り合う相手が居ないって理由で、独身なの。
 で、私の魔力なんだけど…、領主様に匹敵するみたい。」
「え、ちょっと待って。それ凄い事なんじゃない?」
 トゥーリが身を乗り出してる。
「凄い事みたいだよ。私の魔力はエーレンフェスト第2位だって。…神殿長より強いみたい。」
 あ、固まった。
「…良くそれでマインを守ってくれたわね…。」
 あ、母さんの固まりが解けた。
「私を愛妾にって言ったのはそう言う理由があったみたい。だから愛妾になるにしても、今すぐの話じゃないの。
 それに結婚もしてないのに愛妾を持つべきじゃないって神殿長が言ってくれてるの。
 何かね、詳しくは全然分かんないけど、魔力以外にも結婚しない理由があるらしくって、もし結婚するなら、愛妾なんて望まないと思うし。
 だから全然決まってない話なの。」
「本当にそうか?」
 父さん、流石。
「ホント。只ね、領主様がそれらを押して望まないとは言い切れない。実際、断ったって言っても、意見が変わるのを待つって言われちゃったし…。命令されたら逆らいようがないでしょ?」
「「「そんな事ないわ・よ・ぞ!!!!」」」
「マインが望んでないなら、俺は神様だって許さんっ!!!!」
「マインが幸せにならないなら、母さんだって黙って無いよ。」
「私だってマインを守るよ、お姉ちゃんだもんっ!!」
 皆がいる。嬉しい。やっぱりこの生活が良い。
「母さん、興奮したらダメだよ。お腹の赤ちゃんに障るよ。」
 私は笑いながら言う。
「あのね、私…、この生活を守って、出来るだけ長く生きたい。多分、それを叶えてくれる一番の人は神殿長だと思うの。」
「マイン?」
「領主様からの愛妾命令がなくなって、神殿長が還俗しないでいられるなら、神殿長の愛妾になろうかなって。」
「「マインっ!!?」」
 わあ、凄い反応。こっちからお願いしちゃったんだけど、うーん、どのタイミングで言おう?