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神殿長ジルヴェスター(12)

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ローゼマイン視点



 私はローゼマイン。エーレンフェストの領主候補生だ。マインと言う平民が死んだ事にされて、生まれた私は馴れない貴族社会に四苦八苦している。
 あの日、養父様の別邸で泊まった私をダームエルが護衛した。翌日に起きた時、養父様よりこれからの設定を教えられた。
 カルステッド様がお父様になって、神殿長…、ジルヴェスター様が婚約者になった。私のこれからの為だと言った。現在、奥さんも跡継ぎも居ない養父様が養女を取り、領主候補生にすると言うのは事実上、次期アウブの決定だ。私の後ろ楯はお父様の一族となる。
 私が課せられる責任は重く、けれど養父様は甘やかせない。存分に甘えられる相手を婚約者にして支えて貰い、将来はジルヴェスター様との子を成し、母として導いて行け、と言う事だ。
 確かにスパルタな養父様と甘やかしのジルヴェスター様は丁度ムチとアメである。
 …うん、まさか愛妾通り越して、旦那様になるとは。
 それに平民が領主って…、シンデレラもびっくりなサクセスストーリーだね。
 因みにフラン達には私が寝こけている間にジルヴェスター様によって、説明済みらしい。

 …処で私の祝福がダームエルの魔力を増やしているらしい。確認してみたら、ある一定量以上の魔力保持者がそうなる可能性が高いらしい。
 魔力が無い平民には変化無しだが、私の祝福が飛んだ相手の中にフリーダが居て、今まで以上に魔石交換が頻繁になったとか。ダームエルとの繋がりも判明して、驚きである。
 しかし反面、養父様の魔力が変化無しであり、私より魔力が多ければ増えないらしい事が分かった。
 因みにジルヴェスター様の魔力にも変動があった。養父様から将来の為に、私との魔力差を少なくしろと圧縮を命じられていたみたいだったから、丁度良かったと言ってた。…何処か遠い目をしていたけど。
 そしてその時、私の圧縮方法が高く売れた。
 
 私の毎日は忙しい。孤児院長として、次期アウブとして、流行発信者として次から次へと仕事が多く、その合間を縫って、虚弱体質を治す為に奔走している。
 虚弱体質の理由は魔力の塊が出来ている事が原因で、ユレーヴェを作らなければならない。その際に調べたらしいのだが、身食いは他者の魔力に染まりやすい為、記憶を覗かれた際に、私は既に養父様の魔力と全く同じになってしまったらしい。
 その為、養父様の持っている材料で作る事も可能だそうだけど、やはり自分の為の材料は自分で集められる様になった方が良いと、素材集めに駆り出される羽目になった。…本当に大変だったよ。
 けれど苦労の甲斐もあって、貴族院に入学する頃には、人よりちょっと小さいだけになった。
 …魔力がどんどん増えているから、倒れやすさは中々改善しなかったけれど。