神殿長ジルヴェスター(12)
エーレンフェストの次期アウブとして、注目される中、私は図書館行きを目指して、講義を合格していく。途中、フラウレルム先生がゴチャゴチャしてたけど、私はそれを軽々乗り越える、と周囲には見えているらしい。
「そう言えばローゼマイン様はフロレンツィア様、と言う方をご存知ですか?」
不意にフラウレルム先生が尋ねて来た。ニタァと嫌な笑い方をしている。
「いいえ、存じ上げません。」
「んまあ! 随分、ジルヴェスター様に無関心でいらっしゃいますわね! ジルヴェスター様もお可哀想に、お優し過ぎるのも問題ですわ。」
「ジルヴェスター様がフェアベルッケンの加護を願っている事を、フラウレルムこそ、ご存知無かったのですか?」
「おお、確かにお伺い致しましたな!! ローゼマイン様がジルヴェスター様の水の女神だと、思わずアウブに報告してしまった程ですな!! いやはや光の女神になる時が楽しみですなあ!!」
「何にせよ、神殿でジルヴェスター様とローゼマイン様はリーベスクヒルフェとブルーアンファに見守られていたのですなあ。いやはや、もうそんな年令では無いのに、エフロレルーメの舞いが見えるようです。」
…何が言いたいのか、サッパリ判らないので取り合えずニコニコしておく。
ヒルシュール先生、ルーフェン先生、グンドルフ先生のタイミングを考えると、フラウレルム先生が私に不愉快な事を言ったのを止めた、と言う事で良いだろう。何だかフラウレルム先生の顔が引き攣ってる気がするし。
「おや、フラウレルム、どうしました? シュラートラウムの訪れはまだ早いですわよ。」
「別に眠ってませんわ!!!!」
何にせよ、騎獣作成は合格した。
居眠りしているのかと言わんばかりだな、と思ったヒルシュール先生の言葉には、寝言は寝て言えの意味もあるのだと知ったのは少し後だ。
…フロレンツィア様とやらについては、エーレンフェストに戻った時に聞いてみた。
「何故、其方がその名を知っているのだっ!? 貴族院で聞いた!!?? 何故そんな話が出るのだーっ!!!!???? え、あっ、違うぞ!! 終わった話なのだっ!! 過去だから!!!!!!」
浮気がバレた亭主ですか? 不愉快さと優越感が混じり合った感想を抱いた話を聞き出せた。
作品名:神殿長ジルヴェスター(12) 作家名:rakq72747