二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

神殿長ジルヴェスター(13)

INDEX|3ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 


 祈り空しく、数日経ってもフェルディナンドは元に戻らない。こうなっては成長のやり直しをするのだと、思うしかない。…記憶はどうなるのだろうか…。
「ん?」
 取り合えず魔力測定をして気付いた。
「魔力属性が変わっている…。」
 思わず呟いた。フェルディナンドは均等な全属性だ。しかし今は全属性だが、偏りが出来ている。
「私の影響か…?」
 偏りの出方からすれば、そう思うしかない。基本、同じ魔力のローゼマインでは変わりようが無いからな。
 赤ん坊になった日からの時間経過を考えれば、恐らく偏りある全属性がこれから続く事が予想される。
「…と言う事はまさかっ!?」
 気付いてしまった可能性に叫ぶ。さっきから文官が私の挙動に振り回されているが、気にしていられない。
 私はフェルディナンドの隠し部屋に向かった。

 「カルステッド、名捧げ組を呼べ!! それからボニファティウスもだっ!!」
 予想は最早、確信している。間も無く、エックハルト、ハイデマリー、ユストクス、ボニファティウスが揃った。
「重大な事が分かった。」
 人払いをした上で、盗聴防止する中で話す。
「魔力的に、だが。…フェルディナンドは高みに昇っている。」
「「「「「は?」」」」」
 集まった者達が意味が分からぬと言う顔になる。
「証拠だ。」
 それを出した瞬間、名捧げ組が顔色を替えたが、無理も無い。返して貰った覚えも無い名が返っている状態だと示す、各々の名捧げ石が目の前にあるのだから。
「今やフェルディナンドの隠し部屋は、誰もが入れる。その名捧げ石も、その中で見付けた。領主の契約魔術も破棄されている。まるで高みに昇った後の様にな。」
 呆気に取られる周囲に私は続ける。
「更に、赤子の魔力属性に偏りが出来ている。…魔力的には別人なのだと考えるべきだ。」
 恐らくあの時、何も出来ないままであれば、フェルディナンドは本当に高みに昇っていた。魔力は完全に枯渇し、魔石になったのかさえ怪しい。
 恐らくだが、原因は分からぬが、魔力を作り出す器官に異常を来たし、肉体に魔力を留められず、空になったと同じ状態の肉体に、ローゼマインと私の魔力が注がれ、器官を修復した結果、新たな魔力属性に変わったのだ。
 …魔力だけで考えるならば、今のフェルディナンドは私とローゼマインの子供と考えても良いかも知れない。
「フェルディナンドが苦しんだ時、其方等も苦しんだ。…あれは名を捧げた時と同じ速度で、名を返して貰っていたのかも知れぬ。本来の形と違い、悪魔で魔力的な意味合いのみでの話だが。」
 私の仮定に誰もが押し黙った。
「さて、こうなると赤子がフェルディナンドに戻る事は期待出来ぬ。もう1度生き直すと思った方が良い。
 …中継ぎアウブを選定すべきだと思う。」
 私はボニファティウスを見る。
「年齢を考えると其方の方が適任だぞ、ジルヴェスター。」
「罪人でもか?」
 私は続ける。フェルディナンド派の3人がいる中での問答。…ここで間違える訳には行かぬ。何としてでも言質を取らねば…。
「私は、次期アウブのローゼマインの婚約者だからこそ、ライゼガングに所属している。だが例え中継ぎであろうと、私がアウブになれば、ローゼマインの次期アウブはほぼ潰れる。態々ローゼマインの成人に併せ、アウブを交代するのも余り考えにくいからな。
 私の次のアウブが、私達の子であるよりも、成長したフェルディナンドが継ぐ可能性が高いかも知れぬ。
 だが私もフェルディナンドも血筋ではライゼガングではない。それに足を引っ張られる可能性を思えば、其方が中継ぎになり、成長したローゼマインに譲る方が良い。其方の影響を受けた上で、尚且つローゼマインから指名して、フェルディナンドが後を継いでも、問題は生じにくい。」
「…成長し直したフェルディナンドを領主候補生にするつもりか?」