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神殿長ジルヴェスター(13)

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ローゼマイン視点



 養父様が赤ちゃんになってしまった。更に魔力的に亡くなったのも同然らしい。…本当に死んだ訳じゃないのが救いだけど。
 赤ちゃんになった養父様は、そのままフェルディナンドと呼ばれるらしい。記憶については…、判別が出来ない。とにかく赤ちゃんをアウブに置けない為、急遽中継ぎのアウブを立てる事になった訳だけど…。
 考えて見よう。中継ぎでもアウブはアウブ。当然、領主候補生から選ばれる。未成年の私は論外。次期アウブだけど、今すぐアウブに就けない。それから年齢を理由に辞退しているお祖父様。なれない訳では無いけど、他に相応しい人がいれば、除外される。…そして私の婚約者となった、ジルヴェスター様。…うん、もう彼しか居ないよね。こうして私は次期アウブから次期第一夫人となった。…アウブになるのとは違う意味で不安だ。
 当然、ジルヴェスター様は神殿長を辞める事になる訳で。
「新たな神殿長にはローゼマインを任命する。」
「慎んで承ります。」
「それから今まで不在であった神官長だが、今回を機会にユストクスを任命する。」
「畏まりました。」
 ユストクス様、か…。変わった方だし、神殿に嫌悪も無い。印刷機に興味を示していたし、特に問題は無いだろう。問題処か有能だしね。
「印刷業の要である孤児院長にハルトムート夫妻を任命する。」
「「畏まりました。」」
 えっ!! 何かギラギラしてない!? いや、事前に話してあるとは言ってたけど…。
 それにしても唖然としている貴族も多い。確かに上流貴族3人が新たに神殿に出入りするのは、考えにくいもんね…。しかもその内1人は大領地出身者だし。
「あくまでアウブ命令で、神殿業務を行うのだ。先代の命で神殿業務を行った、私やローゼマインの例と同じと考えよ。」
 出家では無い、と周囲に言い聞かす。これがジルヴェスター様の1番最初の仕事だった。