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神殿長ジルヴェスター(15)

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フェルディナンド視点



 私はフェルディナンド。今日よりエーレンフェストの領主候補生となる。
 7才の洗礼式をアウブ・エーレンフェスト夫妻の元で行う。これにより公にて私は2人の実子となる。しかしそれは真実では無いと知っている。
 私は先代アウブ・エーレンフェストだったらしい。魔術具の発動事故にて、赤子から生き直していると聞いた。実に興味深い。少し残念なのは、大人の記憶は残っていない事か。
 私はとても優秀だったらしく、周囲からは元の私になっていくのだろうと思われているし、また期待されている様だ。
 しかし当の両親は……、
「フェルディナンドが好きな様に、なりたい大人になれば良い。間違った事にはならぬ。」
「ジルヴェスター様。ならぬ、ではなく私達がさせぬ、でしょう? フェルディナンド、好きな事を、やりたい事をしなさい。それが間違っている時は、私がしっかり叱ってあげますから。安心して育てば良いのですよ。」
 ルングシュメールはルングシュメール、フリュートレーネはフリュートレーネ、けれど癒しは癒し。拘りはしないけれど、割り切る事もない。
 不思議と2人の前ならば、空気が甘く、息がし易く感じるのだ。中々に面白い。
「はい、分かりました。父上、母上。」
 その為、私は自然と笑顔になるのだ。

 その様な事を思い出し、心を落ち着けるのは、この先に向かう為だ。

 「新たなるエーレンフェストの子を迎えよ。」

 声が響き、私はしっかりと前を見据えた。