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逆行物語 第三部~ヴィルフリート~

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変動(2)



 叔母上が処刑され、名を捧げていた者達も高みに昇った。故に、エーレンフェストには既に反逆者がいた、と示している。その為、父上に敵対していた者達も含め、中央に知らせ、判断を仰がねばならない。…恐らくは一族諸とも処刑されるだろう。
「罪を犯していない子供達は助けるべきです。魔力だって余ってる訳では無いのですから。」
「駄目だ。余計な争いの元だ。敵対勢力の魔力等、当てに出来ぬどころか、負になる可能性も高い。」
「必ず敵対するとは限りません!! 貴族院で、親の影響の無い彼等を見てきました! 親の派閥から抜け出したがっていました!! 魔力圧縮の契約や名捧げ等の制限は必要かもしれませんが、まずは子供達自身を見て下さい!!」
 ローゼマインらしいとも思う。叔父上ならば何か落し所を見付けるだろう…、と予測したが、結果は全く違った。私は正直、意外でならなかった。
 そして、ローゼマインの教育について、見直すべき、との話を漏れ聞く様になり、まるでそれから、叔父上から逃げる様にローゼマインが神殿に籠り出した。
 医学講座を受けるに当たって、かなり厳しい条件を満たさなければならないので、貴族院へ戻りたいが…。これは放って置いて良いのであろうか…。
「ヴィルフリート、今から其方の部屋に行く。」
 ある夜、そんなオルドナンツが届く。待っていろ、とさえ無い事に首を傾げる。が、その疑問はやって来た叔父上を見て氷解した。いや、訂正する。忘れてしまった。
「…お、叔父上、その、体調が…、その、余り、宜しく…、ないのでは…、」
「ふん、健康状態は執政に携わる者にとって、尤も大事な事だ。正式に主治医等が着いた瞬間、戦力外と看做されるのだ。
 何の為に医師になる訳でない、其方に医学を学べと言ったのか、解っていないらしいな。解っているなら、中継ぎになったばかりの私に、そんな事を側近だらけの場で、それもそんな直接的に尋ねる訳が無い。」

 そんな理不尽なっ!!!!!!!!!!!!!!!

 多分、この場にいる全員が叫んだ筈だ、心で。直接、声に出す勇気は無い。
「も、申し訳ありません…。」
 抗議する勇気はもっと無い。
「お、お水は、飲まれますか?」
 ランプレヒトが見兼ねたのか、間に入ってきた。しかし又しても叔父上が鼻で嗤う。
「ふん、護衛騎士は主人の会話に入るのが仕事か、違うだろう。こんな基本も解らぬのか。無能め。」
 それを言うなら、アウブを1人にしている護衛騎士はどうなのだ、とは誰も言わない。言える筈がない。言っても無駄だ。

 こんな恐ろしい酔っ払い魔王に何を言えと言うのだっ!!!!!!

 叔父上は見るからにヴァントールの祝福が効き過ぎていた。おまけに加護が無い(要は悪酔い)。如何程、酒を呑んでいたのか知らぬが、足取りが可笑しいし、顔はゲドゥルリーヒの貴色に染まっている。何よりも離れているに関わらず、匂いが濃い。
「ヴィルフリート、隠し部屋に行くぞ。」
「あ、はい。」
 箱を抱えた叔父上に凄まれ、私は直ぐに頷いた。