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逆行物語 第四部~ハンネローレ~

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ヴィルフリート



 ローゼマインとヴィルフリート様の間に飛び交うショウバイヨウゴとやらが余り理解出来ませんが、没頭するローゼマインとは違い、ヴィルフリート様は此方に解る様に言い直しをされたりして下さいますし、気を使って話を振って下さるので、私はとても安心しました。
 そのダンケルフェルガーの殿方には無い優しさは、私を何時しか捉えて行きます。
 ヴィルフリート様は神殿長、ローゼマインは孤児院長と、どちらも神殿に関わっている事を隠す事もしません。白を基調にした紳士服と、青を基調にしたドレスはそのままお2人の特殊性を物語っています。
 お2人が兄妹であらされる事は、エーレンフェストでも存じる方は少ないのでしょう。
故に親し過ぎると、色々憶測を生むものでございます。
 ローゼマインはジルとそっくりな御容姿のヴィルフリート様に安心感を持っているのか、周りが何を言っているのか気付かぬくらいに気を抜いているようです。
 そんなローゼマインをやんわりと諌め、私の話をちゃんと聞くように促して下さるヴィルフリート様には、本当に助けられました。
 …ローゼマインに言う事を聞いて貰う為、エーレンフェストで作家陣を育てると約束しておりました事も、私にはとても嬉しい事でございました。
 ディッター物語しか無い中、エーレンフェストの恋物語が非情に楽しみになっていくのです。
 産業技術をエーレンフェストに売る、と言う判断は何も知らない他の貴族にも受け入れられて行くのです。
 ヴィルフリート様はローゼマインだけでなく、私にも恋物語を進めて下さいました。
「ローゼマイン様は本であれば、何でも良い本狂いですが、ハンネローレ様には好みがございましょう。喜んで頂ければ幸いです。…ダンケルフェルガー全体に受け入れて下さる様、ディッターも入っておりますが…。」
 作者名はアレキサンドリアです。初めて見るお名前でした。
「ヴィルフリート様、もしかしてこれは…。」
 何かに気が付いた様にローゼマインが呟きました。
「うむ、私が書いた。」
 ヴィルフリート様が!!? 殿方が恋物語を!!! 私はとても驚きました。題名は…。

 “我がエーヴィリーベ、我がゲドゥルリーヒ”