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「…お兄様、私はマインです。お兄様はジル、です。」
　ぐっ、と涙を堪えて話し出す。私達はエーレンフェストの下町で生まれ育った兄妹で、富豪の家柄だったらしい。
　マインは身食いで、生きる為に神殿に魔力を奉納させて貰っていた。領主の弟で、神官長のフェルディナンドと言う男の助けを借りて秘密裏にしていたが、それが平民嫌いの神殿長にバレてしまった。
　嫌がらせから家を襲われ、家族は皆殺し、私は神官長と恋仲になって(何と星を結ぶ約束をしていた、洗礼前の子供と大人なのに)、行動を共にして難を逃れたマインの居所を吐かせる為、拷問を受けた、らしい。
　助け出されて、癒しを掛けられたが、精神的な疲れが溜まっていたのか、今まで眠り続けていた、と。
　その後、フェルディナンド様です、と紹介され、彼の診察を受けた。敬語を遣い、話す事に、何故か強い違和感を感じる。当たり前な筈なのに。