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逆行物語 真三部~麗乃=マイン~

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戴冠式 前



 あれからフェルネスティーネ様とコンタクトが取れない。どうやら彼女はあの1回以外、全く私と話をする気がないみたいだ。
 それどころか、何の魔術を開発したのか、私は隠し部屋に入る事も出来ない。いや、まあ、入ってきたらイヤだ、みたいな雰囲気はあったけど。
 エアヴェルミーン様の事といい、どうするつもりなんだろ…。

 …後、王配を養父様にって何の冗談? まさか本当に養父様が好き? だとしても既婚者をどうやって王配にするの? 

 …エアヴェルミーン様と話が出来たらなあ…。
 フェルネスティーネ様が何を企んでいようと、関係なくなるのに。
 神様達は私を見付けたい訳で、だから魂の私と会って貰えれば、賭けは終わりなんだよね、気付いたばっかりだけど。でも始まりの庭に行っても、会う事は出来なかった。溜め息を吐いたまま、私はフェルネスティーネ様の戴冠式を見ていた。
 …全く、シュタープ入手も見れなかったんだよ。多分、隠し部屋の仕掛けの類似品のせいだと思っている。お陰で偽物私やヴィルフリート兄様のシュタープ取得も確認出来てないし。

 「この様な時間の急な勧告にも関わらず、お集まり頂き感謝します。私はフェルネスティーネ。今よりツェントになりました。」
 
 「グルトリスハイト。」
 
 「ユルゲンシュミットの創世神・エアヴェルミーン様の御光臨でございます。」

 「今まで、神が人に干渉される事は余りございませんでした。人の夢に現れる事も、自らの力で神の御言葉を聞ける者以外の前に姿を現せる事も、自らの考えを命として効かせる事もございませんでした。
 つまり、それほどに今、この世界が危機に瀕していたのです。そして…、人は今、神の信頼を失おうとしています。
 最後の機会を生かさねば、何の道、ユルゲンシュミットは滅亡への歩みを僅かに遅くしただけに過ぎなくなるでしょう。」

 「信頼を取り戻さなければ、神の愛と慈悲をも失い、白い砂となり、崩れるユルゲンシュミットと共に、私達は死ぬのです。高みに昇らずに。」

 「正しき次代への道を共に創る為、私は遠慮等致しませぬ。皆、従って貰います。」

 「これより、王命を発表致します。」

 「全領地、神殿の改革と復興に努めよ。アウブ、又は領主候補生が神殿長となり、神殿と貴族社会の制度、全貴族の意識を改善するのだ。遣り方は各々の領地に合った遣り方を認める。」
 
 「続いて、新たなる戦の種を、発芽する前に取り除く。アーレンスバッハの者共を捕らえよ!」

 「ヴァッシェン!」