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逆行物語 真三部~フェルネスティーネ~

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人格破綻者の熟考



 私が先ず考えたのは、不老を誤魔化す事だ。何せ不老と言う事は成長もしないと言う事だ。神の恩恵で納得させてしまえば、婚姻の必要性がなくなってしまう為、そこまで人間を辞めてる事を周知させる訳には行かない。詰まり、人並みに成長している様に見せ掛けなければならない。
 …知識は簡単に手には入る。でも、それを実用するには魔力がいる。それも全属性でアホみたいな量が。なので、魔力圧縮と属性について、神側の知識を引っ張った。で、私はそれを実効する事で、全属性となり、魔力量もアホみたいに増え、魔術も神と同じ技術レベルで、扱える様になった。
 早速、変身魔術を自分に掛け続け、何か成長しないね、と疑問に感じられる事さえ無い状態にした。
 次に私の派閥を作る事に着手した。私の派閥は神殿にする。反発するが、使える人間はホンの少し暗示を掛けて、怪しまれない程度に操り、神殿改革、詰まりは孤児院改革に協力させた。

 そして中央神殿のキュントズィールの下地となる。

 それから私がツェントになる為、それが全領地に納得させる手段。破滅思考を持ち合わせていたゲオルギーネや、一方的に利用する使い捨ての駒に対するジェルヴァージオ達の様に、強い暗示で操る積もりは無かった。そんな支配の仕方では、私の気分程度にも左右され、ツェントとしては失策ともなり得る。
 だから、その手は取れない。けれど私の身分でツェントになる等、妄言未満だ。はっきり言えば、マインの様な人生が異常なのだ。運が良過ぎる。そして調子に乗って、運の揺り返しに負けた。変人で無能なマインには、どうしようも無かっただろう。
 私はあんな赤ん坊(欲求を訴える事しか出来ない・しない)な中身は持ち合わせていない。まあ、運が良い事は認めるけど。ちゃんと揺り返しに対処出来る様にしなければ。

 その為には、やはり半神である事を利用するべきね………。

 言う間でもないけど、私は麗乃が、マインが、ローゼマインが嫌いだ。好きな処等、1つも無い。
 大人になる為に参考にした誰にとっても敵になったのだから、当たり前だろう。…だから勿論、フェルディナンドも嫌いだ。
 まあ、こっちに関しては4才の私の意見でもある。まだ麗乃はバカだし、一番最初の苦手意識な印象が強いだろう事も解るけど、フェルディナンドはダメだ。
 あれだけ足を引っ張り、依存した存在であるジルヴェスターを、アダルジーザの実である事を隠したいが為に裏切り、アーレンスバッハに行った癖に、常識学ばずのローゼマインの甘言に乗って、都合良く捨てた。
 フェルディナンドにとってのジルヴェスターが、4才の私にとってのラオブルートであると認識しているから、その行動が許せないのだ。

 …例え一時でも、フェルディナンドを幸せに等するものか。

 カーオサイファ様の魔術具(模造ローゼマイン)も嫌いだし、2人を結婚させるつもりは無い。…麗乃はまあ喜ぶだろう。そして故に苦しむだろう。
 諸々を思えば、ベストな嫌がらせだ。

 …っていけない、考えが擦れた。私がツェントになる方法を考えなきゃいけないのに。

 正確には神様との交渉について、か…。

 一応、半神だから交渉可能だし、カーオサイファ様に頼ったからには、イレギュラーもアクシデントも承知だろう。
 カーオサイファ様御自身は、如何様に事が転んでも、自分が楽しめれば良いとお考えと推測、否、確信出来る。ならばゲームは長引かせたいくらいしか希望しないだろうから、私の勝手なる行動については、特に制限はしない筈だ。寧ろ、カーオサイファ様に対し、相談を持ち掛ける方が難しい。

 …神々の全ての都合については、肉体が如何に変わっても、心は人間から外れられないのだから、理解等出来る筈が無い。だから理解は諦めるが、その状態での交渉事を成功させるには、かなり綿密にシュミレーションしないとね。