逆行物語 真三部~フェルネスティーネ~
人格破綻者の評価
エアヴェルミーン様との交渉は無事終わらせた。神と同等技量で魔術を使える様になれば、夢を伝い、話す事が幾らでも可能なので便利だ。
無論、麗乃については何も教えていない。と言うよりそれは禁止されていて、出来ない様にされているのでは無いかと思う。試す事もしていないので、不明ではあるが。
麗乃と言えば、カーオサイファ様の役割が輪廻の管理だから、魔力ではなく、魂での感知が可能なのではないか、と思わせられる事がある(真相は勿論、謎だけど)。
何故かと言えば、私、魂の波長に敏感なんだよね。だから、魔力と魂の見分けもつくし、波長を合わす事も、外す事も、反発させる事も可能だ。
麗乃に波長を合わせば話す事も、触れ合う事も出来る。外せば近くにいるな、と解る程度で、話す事も触れさせる事も出来ない。拒絶すれば、完全に感知が出来ないし、麗乃にとっては追い払われる様だ。
更に魂の思念を魔力とは別に、何かに残す事も出来るのだけど、波長も思念の1つになる様だ。
取り合えず、感知するだけでも嫌なので、基本は追い払う事を決めた。只、少しくらいなら話して見ようと思えたのは、ローゼマインに対する自分の手酷い評価に自信を持ちたかったからだ。
嫌いな人間を高評価したくないけど、そんな私情に振り回されていれば、ツェント失格だろう。そして結果は………。
【私が見えているのですか?】
「見えていると言えば、許しを得ずに隠し部屋に入室した事を謝罪し、出ていってくれるのかしら。」
【うっ、】
そんなやり取りから始まった会話。当然、私は麗乃に感情を教えるヘマはしない。カーオサイファ様、様々である。
「まあ、幽霊との会話なんて、ここしか出来ないから仕方は無いのでしょうけれど。」
【申し訳ございません。どうしてもお聞きしたい事がありまして。】
「何かしら?」
麗乃が確かめる事は、賭けに勝つ為に必要と認識する事になる。果たして麗乃の判断は間違わずに済むだろう。
【神々が夢に降臨するなんて、どう言う事ですか?】
「エーレンフェストの聖女の夢に、神々が出てくるのと同じよ。」
【神託は?】
「人の夢に、境界を越えて干渉する魔術を使っただけよ。」
【そんな魔術があるのですか!?】
「私が研究して編み出したの。私が“知識”を手にしたのは4才よ。何もしない訳無いでしょう? 未来の情報もあるのに。」
知識はあっても、先には進まない理由が良く解るわ…。
「魔力圧縮1つとっても、“偽者”が契約魔術で縛るのだから、私は私で別の魔力圧縮を考えたのだし。
…まあ、お陰様、と言う事も多いけど。」
魂の色にあるのは、自分の知識を越える事への疑問だけ。私を利用して、情報を得る頭も無い。根本的に頭が悪いのね。
「処で私は今、貴方に波長を合わせて、会話している。だから波長を合わせる努力を止めれば、貴方との会話は出来なくなる。
私は私のやりたい事をする。
貴方の意見を受け付けるのは今だけ。何か話して置きたい事や他に聞きたい事は無い? なければ波長を外すけど。」
未知なる知識が魅力的に映り、懸想したフェルディナンドは盲目になっていたのね。録に人付き合いも出来ないから、人を見る目なんてないでしょうから、余計に。
作品名:逆行物語 真三部~フェルネスティーネ~ 作家名:rakq72747