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逆行物語 真二部~エーレンフェストの為に~

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麗乃=マイン視点~お兄様の政策~



 【2回目の時、私が偶々見付けた証拠を全て叔父上は提出し、速やかに記憶を読む手筈になった。他の手紙が裏付けのみで良いのに対して、叔母上の手紙は、まず相手が誰であるか、から始めなければならなかったからだ。記憶の読み取りはその為に行われた。
 …初回時は其方がその手紙を隠蔽した為、発覚した時には誰宛なのか分かっていたし、ベーゼヴァンスは亡くなった後で、重要性を見逃した。
 …今回、ベーゼヴァンスがまだ生きている今、記憶を読む可能性が高い。そして重要性に気付けば、神殿の事はこのままにしては置けなくなる。
 現に私が見付け、叔父上が全て提出した時、礎の事を知っている者は限られていたが、それでも領内が一致団結してアーレンスバッハを、ゲオルギーネを警戒した。…警戒出来たのだ。
 それと…、其方は知らぬ事だが、4度目の前回も領内が一致団結しやすく、協力して様々な事に当たっていた。
 その主力になったのがゲルラッハだ。ゲルラッハの執政能力も文官としての能力も高い。
 その男を味方にせぬのは、“ローゼマイン”の身の安全を考えての事。敵に回す以上、礎の事は細心の注意を払わねばならぬ。にも関わらず神殿に防備を整えるとなれば、何かあると言う様なモノだ。それでも知れば動くしかない。礎に注ぐ事が可能な魔力量保持者ならば、礎を押さえられる。

 ――礎を押さえた者がアウブなのだから。

 ならば…、何も知らぬ方が良い。今はまだ、な…。】
 兄様の説明に、私はまだまだ考え無しなのだと反省した。

 ゲオルギーネ来訪時も兄様は素晴らしかった。既に礎の事を示す手紙は無いのだから、彼女は何も手に入れられぬままアーレンスバッハに帰ったのだが、兄様は隠し部屋でゲオルギーネの魔力を模した魔術具の手紙にゲオルギーネの筆跡を模した字で、ゲオルギーネの振りをして、ゲルラッハに礎の在処を知った事を仄めかす(当然、場所は書いていない)。勿論、暗号文も完璧に真似ているから、ゲルラッハは疑いもしない。
 因みに遠見の術なんて覗きチートを使っての証拠強奪から捏造指示書の郵便には、何とも言えない気分になったけど。
 ゲルラッハが悪巧みをしている処もバッチリ駄々漏れ。白の塔事件に繋がる情報も早い段階でつかんでいた。
 そしてその中で“ローゼマイン”とより親しくなっていくと同時に、貴族の常識を少しずつ教えていく。何というか、フェルディナンド自身が常識外れだったから、誤解していた面もあった訳だけど、ヴィルフリート兄様はそれを知っているから、“ローゼマイン”の理解し易い様に説明している。
 “ローゼマイン”が嘗ての私と同じ様に、本質を解ろうとしない事が尤も大きな問題である事も踏まえて、それでいてそれさえ利用して、なるべく1度目をなぞる様にしている。
 けれど“ローゼマイン”が寿命が削られるダメージを受ける事は避けられている。
 シャルロッテ誘拐未遂において、“ローゼマイン”が毒を受けなかった事は良い例だろう。
 1度目をなぞるのは、ユルゲンシュミット崩壊の危機をランツェナーヴェ任せにしておくのは、如何に押さえても自重を知らない“ローゼマイン”が、何処で何をやらかすか不明な分、エーレンフェストの立場がどうなるか曖昧過ぎる。
 順位が何処までなら、ランツェナーヴェに見逃して貰えるか不明なのだ。順位を上がる事を目標にしている今、ややこしい調整をするよりも、ランツェナーヴェを敵と見なして、アーレンスバッハとも直接遣り合う事を考えた方が良い。
 それでいて、兄様はエーレンフェストが派閥関係でバラバラになる事を防ごうとしている。
 ヴェローニカ派閥の粛清に連座を適用しない事を“ローゼマイン”からライゼガングを説得させるのも、その救った子供を大人達で管理する体制を取るのも、全てその為だ。
 “ローゼマイン”が救いたいと願うが、責任を取れない位置にいる、無責任な存在だと言う事を、ライゼガングに対して明確にする意味があり、その責任を代替する養父様との関係性の良さもアピール出来る。
 それでいて、ライゼガングに利を与える希望の存在である事にも変わりなく、“ローゼマイン”の後ろ楯である事に裏切らない。
 発案した兄様の存在は今は隠れるが、助けた以上、ジルヴェスター派閥になっていくだろう、ヴェローニカ派閥の御輿になる事が決定的となる。
 若い世代のライゼガングは“ローゼマイン”を通し、取り込める者も多いだろうが、古老のライゼガングは兄様に対し、見方を変える事はしないだろう。だから味方の数は多い方が良い。