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逆行物語 真二部~エーレンフェストの為に~

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麗乃=マイン視点~お兄様の答え合わせ~



 【そうだな、良い答えだ。だが半分だ。】
 兄様は言った。
【粛清をした以上、ゲオルギーネの足掛かりはゼロになる。嘗てゲルラッハに逃げられたのは銀の布や、身代わりの術があったからだが、あの時より早い段階だった為、どちらもなく捕らえられた。
 記憶を読めば、礎の事が知れ、守る手筈も整える事になる。ヴェローニカ派閥を崩した今は、手が打ち易い。
 故に問題は1つ…、純然たる人手不足だ。】
 私は嘗て養父様が養母様の側近を借りていた事で、ブリュンヒルデが第二夫人に名乗り上げた事を思い出した。
【ライゼガングから新たな側近を召し上げるに当たって、1度目よりはやり易い筈だ。それが駄目でも、前回では連座になった、今は成人近いヴェローニカ派閥の名を捧げさせた者がいる。
 …変化についていけない者は切り捨てるしかあるまい。憐れだが、下手に残せば新たな火種にしかならぬ。これは逆にヴェローニカ派閥を全滅させていれば、少なくとも今はまだ、切り捨てる必要が無かった存在だ。“ローゼマイン”が理解するかどうかは分からぬが…、理解するならば納得させられる自信はある。】
 …確かにそうだ。ヴェローニカ派閥を全て崩していたら、早急にライゼガングから側近を取り立てていたろう。粛清直後なら、領主一族の情報を知る為に入り込みたい人間は山程いた筈だ。
 ヴェローニカ派閥が残って居たために、様子見をする者達がいて、養父様もじっくり事を構えていた。
 その間に私が次から次へと考え無しで騒ぎを起こし、結果として、私を領主に押し上げたいライゼガング達が暴走を始め、兄様憎しで兄様を排斥したいが為に、とことん扱き下ろしていたのが、やがて暗殺をも厭わない流れになっていたのに、私はそれを知ろうともせず、婚約者と言う立場でありながら、平気で不義を犯していた様なモノだ。
 側近達は私が第一だったから、ヴィルフリート兄様を蔑ろにする傾向にあったし、私を女神と崇めるハルトムートに至っては、私の側にあるのが相応しいか試すように、領主一族を引っ掻き回し、特に私と兄様の間に溝を作りながら、暴走するライゼガングを切らせた。弱まった地力を復興させる後始末もしていない。
 ハルトムートが側近の、実質のリーダーだったものだから、やがて未成年の側近全員が、内心でヴィルフリートを嫌う様にもなっていた。私が過去を思い起こして気付く様になったのも、政治の流れを第三者としてずっと見てきたからだと思う。
 切られるライゼガングは処刑すらならないだけで、その一歩手前になるだろう。当然、一族に影響だって出る。中には秘密裏に暗殺された者もあったかも知れない。私は目の前の事しか見えていなかったから、ヴェローニカ派閥の子供達のしか考えていなかった、領地に対する影響も何も考えていなかった。
 養父様が精一杯甘やかしてくれたから。養父様の愛情に胡座をかいていたから。それを養母様やお母様が許してくれていたから。
 多分、“ローゼマイン”は理解しないだろう。ライゼガングが切られる仔細を。フェルディナンドに言われた様に周囲が見えていないから。ならば“ローゼマイン”を納得させる理由も無い。
 先々まで読んで、可能性が低い事でも起きるかもしれないと視野に入れる兄様の派閥作りと融和、人手不足解消、これが“ローゼマイン”活用の理由だろう。

 その後、ユレーヴェに浸かり、1年以上眠った“ローゼマイン”の預かり知らぬ処で、対アーレンスバッハ対策が取られる中、さりげなく兄様は私のやっていた事を周囲に任せながら、調整し、その優秀さを少しずつ知らしめていった。