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逆行物語 第六部~シャルロッテ~

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お茶会~中編~



 後から思えば、領地の新産業を担うお姉様に、一番早く問い掛けるのは当たり前だと分かるのですが、“お姉様を甘やかしているお父様”の光景が余りにも強く、私の心に衝撃を与えて来ていた為、元々不安定な心理は、その原因ーお兄様やお姉様に比べられる重圧ーを忘れる程に、冷静さを失っておりました。
「シャルロッテ!?」
 お兄様の驚く様な声に答えられませんでした。
「どうしたのだっ!!?」
「シャルロッテっ!!?」
 重なったお父様とお姉様の声に、ついに私は暴発しました。止まらない涙が歪める視界等、気にもなりませんでした。

 「お父様はお姉様だけが可愛いのですかっ!!!!???」

 大きく息を吐こうとして、失敗して、詰まらせます。
「違うぞっ!! 其方だって可愛いに決まっているではないかっ!!?」
 お父様は直ぐに否定してくれましたが、此方に来てくれません。お姉様を膝から下ろそうとしないのです。
「貴方、ローゼマインを下ろして、シャルロッテを抱き締めてあげて下さい。」
 その通りですけど違いますっ!!!!!! お母様に言われるのではなく、お父様が気付いて、抱き締めてくれなければ意味有りませんっ!!!!
「早く行け、ジルヴェスター。」
 叔父様!! 自分が代わりに、お姉様を見ているから、とでも言う様に自分の膝に乗せ直さないで下さいっ!! 私が我儘言ってる様な気分になるではないですかっ!!!!
 …2人が婚約者同士であると言う点は失念しておりました。
「いえ、シャルロッテが行けば良いのです。」
 静かに通る声が響きました。
「え?」
 お兄様でした。
「シャルロッテが行けば良いのだ。ローゼマインがやっていた様に、父上の足に抱き付き、抱っこを強請り、頬に小さな祝福(キス)を送りながら、“お父様大好きです”と笑い、体を擦り付けて甘えれば良い。そうすれば其方だって当たり前の様に膝に乗せて貰えるぞ。」

 ………………………………。

 無理です、恥ずかし過ぎます!! 気付いてしまえば、とても真似出来る事ではありません。幾ら父娘でも破廉恥過ぎますっ!!!!
「良いか、シャルロッテ。父上とローゼマイン、叔父上とローゼマイン、父上と叔父上、父上と叔父上とローゼマイン、これらの組み合わせが作る世界を、そのまま世界の礎と思うのだ。即ち、これがなければユルゲンシュミットを含めて、全てが滅ぶ、そう思えば諦めが付くからな。」
 …涙が知らぬ間に止まっていた私の心を詠んだ様なお兄様、かなり辛辣な事を言ってませんか…?