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逆行物語 第六部~貴族院の教師~

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ヒルシュール~規格外な弟子~



 その後、宮廷作法の教師であるプリムヴェールから話を聞かされました。
「ローゼマイン様は非常に優秀です。しかし、ヴィルフリート様はそれ以上、恐ろしい程の優秀さでした。」
 ローゼマイン様の作曲に意識が向いていると思ってましたが、内心はそれだけでは無かった様です。
 …そう言えば、今年の宮廷作法は1度で合格者が何人か出たと聞きましたね。上位領地からとエーレンフェストのお2人が出ていた筈です。
 今年の宮廷作法は甘くしたのでは、とも考える人間が居たとも聞きました。
「合格者の数と関係ございますか?」
 尋ねると、プリムヴェールは肯定しました。
「ご存知と思いますが、試験はそれぞれに合わせた課題がございます。ローゼマイン様もヴィルフリート様も問題なく、こなしておりました。
 …最初はそう思っておりました。」
 プリムヴェールは其処で何とも言えないお顔をされました。
「ですが、途中から気付いたのです。此方の意図を見抜き、他の方の課題をこなしやすい様に会話を誘導されている事に…。」
 私は眉を潜めました。幾ら何でも入学したばかりの学生が行える事ではありません。
「偶然と言う事は?」
「試験の内容と全く同じ内容のお茶会は、実際には行われません。現実的ではありませんからね。
 ですから、それをこなす会話も、実際には起こり得ないモノでございます。ですから他者の分まで、となると偶然で片付けられません。
 …ヴィルフリート様はご自分が介入して可笑しくない会話を見極められていなければ、気付きもしなかったでしょう。」
 彼女の声が微かに震えています。無理も無いでしょう。ヴィルフリート様は子供を逸脱しています。
 フェルディナンド様は大人びた子供でしたが…、ヴィルフリート様は大人、それも老獪な、と言う言葉が当て嵌まるでしょう。
 まあ、私は研究さえ出来れば、それで良いのですがね…。
 少し気に掛けて置きましょうか…。

 シュタープ習得日。私を含め、教師が講堂に集まり、後から学生が入って来ます。まず領主候補生を案内し、次いで上級、中級、下級を送り出します。魔力や属性が多い程、奥へ行きます。あのお2人は何処まで行くでしょうか。それと例の素材はそろそろ貰える頃でしょうか。
 つらつらと止めどなく考えていますと、ちらほらと帰ってくる生徒がおりました。大事そうに神の意思を持っている事が分かります。
 微笑ましく見守る者も多く、私も同じ思いだったかも知れません。
 領主候補生が戻って来ます。大領地で上位領地の領主候補生も見られる様になります。

 …ヴィルフリート様とローゼマイン様が戻りませんね…。
 
 お2人以外の領主候補生が、いえ、学生が全員戻りました。
「少し遅い気がしますが…。」
 一本道ですから、迷う筈がありません。首を捻りながら、暫く待っておりますと、珍妙なモノが洞窟から出て参りました。
「ローゼマイン様の騎獣…?」
 フラウレルムが唖然と呟きます。あれがローゼマイン様の乗り込み型獅子(?)の騎獣…。確かに便利そうですわね。私も参考にしましょうか。
 ローゼマイン様が出口で騎獣から降り、近付きます。
「先生方、勝手を致しまして申し訳ありません。荷が多くて…、出来れば寮まで乗って行きたいのですが…。」
 荷が多い? 首を傾げた処、その後ろからヴィルフリート様が乗り込み型騎獣で現れます。…何をしているのですか…。と言うか、ヴィルフリート様の乗り込み型騎獣は何を模したモノなのでしょう。随分と前衛的ですが。
 ヴィルフリート様も騎獣から降ります。そうして後ろを開くと、何かを取り出し、此方に歩みを進めました。…白い枝? 
「ヒルシュール先生、以前、申し上げました、最高峰の貴重な素材です。お受取り下さい。」
 何ですって!? 
「ではシュバルツとヴァイスには手を触れないで下さいね。」
 迷いなく受け取り、私は頷きました。
「ええ!! ええ!!!! 有り難く受け取りますわっ!!!!」
 見た事も有りませんでしたが、神秘を伴う白い枝からは魔力を感じ得ます。早速、研究しなければ!!!!
「全学生が戻りましたので、私、研究室に戻りますわね!!!! 騎獣移動、認めます!!!!」
「「「ヒルシュール!!!!!!!!!!」」」
 何か叫ばれましたが、私はそれ処ではありませんでしたので、聞く耳を持ちませんでした……。