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げつ@ついったー
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今桜詰め合わせ

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首輪をください/首輪をあげよう



『首輪をください』

何やお前、可愛がりたくなるなあ。
男のくせにさらさらする髪を撫でられて、なんだか猫にでもなったような気分だ。目を細めて、喉を鳴らして、擦り寄りたくなる。 もっとも僕は人間で、意思の疎通ができるからこそ僕たちはこうして付き合っている。 何より、僕がそんなのやっても可愛くなんかなくて、みっともないのは分かりきっているから、絶対にやらないけど。
先輩に飼われたら、きっとしあわせだろうなあ。
毎日一緒に寝て、起きて、餌を貰って、今吉先輩が学校の間僕は留守番をして、きままに先輩の枕に寝転がったりしながら、先輩の空間で一日を過ごす。 先輩が帰ってきたらいっぱい遊んでもらって、餌をもらって、じゃれついて、……ああ、すごい理想の生活だ。 うわあ、猫、羨ましい。僕も、猫だったらよかったのに。
「桜井?」
指で髪を弄りながら、先輩は僕の顔を覗きこむ。
やっぱり、恋人というよりはペット扱いだ。これでさえちょっと嬉しい僕っていったい……、
「かわええのぉ、お前は」
はは、軽く唇が重ねられる。何度も、何度も。情愛のキス。
僕がほしいのは、違うキスだけど。

ああ、いっそ本当に、あなたのペットになってしまいたい(、そしたら満足できるのに)!



『首輪をあげよう』

こいつほんとにかわええなあ。
そないなこと、付き合っとるんやしずっと前から知ってると思てたけど、最近会うたんびに毎回思ってる気ぃする。 気ぃつけばそう感じとるし、行動にも出とるし。どゆこと?俺ってそんな分かりやすい構造の人間やったっけ? 頭捻って考えてみても、結局は桜井のさらっさらの髪撫でておんなじことばっか考えとる。かわええなぁ、こいつ。
「せんぱ、い、」
涙で上ずった声を死ぬほど甘やかしてやりたいとか思って、なんかマズイんとちゃうか、ってなった。 まだ高校生やのに、こないな特殊性癖とか……俺の病気は順調に悪化の一途を辿っとるみたいやなぁ。他人事みたいや。
「どしたん?」
ぱちり、目が合う。くっきりとした二重の瞼が目に入る。よう思うけど、こいつ顔ジャニーズくさいなぁ……、
「………スミマセン!」
「お、おお?」
とかしょうもないこと考えとったせいやろうか、俺は驚いた。桜井が唐突に謝るんはいつものことやから別に構へんのやけど、 今日は珍しいことにアクションがついてきよった。半袖のカッターシャツのボタンを上からいち、にい、さん開けて、首筋から指が入り込む。おっとっと、
「良?りょーお?」
「ごめんなさい、失礼します!」
…失礼します、て。体育会系すぎるやろ。ジャニーズ顔のくせに。
他人事みたいにそんな考えながら、鎖骨辺りに必死に吸い付く良の頭を二、三叩いてやる。ん、とくぐもった声を上げて、満足したのか唇を離した。 伏し目がちに自分が吸い付いてた場所を確認して、顔真っ赤にして。オイオイなんやねんその色気は。
「スミマセン……」
「や、ええねんけど。むしろ嬉しいけど」
「イヤ、思っ、たより、壮絶な痕に、なっ、ちゃい、ました」
「自分めんどくさいな」
早くも良、涙目やし。自分で付けといて、ほんとめんどくさくて、かわええ奴。こんなかわええ勇気振り絞ってもろたら、余計なこと言えへんやろ。
「せいぜい楽しみにしとるわ、鏡見るん」

ところでこれはお揃いにせなあかんのやろ?、笑たら、お願いします!てなんか頭下げられてもうた。
(やからお前、どんだけ体育会系やねん)
心の中で突っ込んどいた。伝わったのかどうかは知らんけど、良の喉がひくり、引きつる。ああ、もうほんとかわええなあ、こいつ。



(2009-10-31/2009-11-02)