二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

棘の役割

INDEX|5ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 



本田という男は本当に神出鬼没だ。

「今、殺人容疑で拘束されているアキラという人物が居ます」

執務室に戻ってきたらそこに居たのだから。
しかし、驚いたことに普段の着物ではなかった。
見たことの無い型の軍服。
汚れ一つ無い白が目に痛い。

「それがどうした」
「トシマに行くように勧めてください」
「なんだと?」

切羽詰ったような表情をしているのも珍しかった。

「冤罪を晴らす代わりにイル・レを倒すようにと伝えればトシマに行くはずですから」
「馬鹿な!イル・レを倒すということはイグラに参加するということだ!そんなこと許容する筈が…」
「何もしなければ終身刑なのですよ?」

真っ直ぐに見つめてくる瞳からは何も見出せない。
深い、深い水底を見つめているようだ。

「それに……貴女の探し人は其処に居ますよ」
「っ!?」
「よろしくお願いしますね」

いつの間にかドアの近くに居り、部屋を出ようとしている男を慌てて引き止める。

「待て!何故そのことを……」
「まだ、秘密です」

振り返り、にこりと笑うとドアの外へと出て行った。
追いかけることも出来た筈なのに動けなかった。
本当に、nが、奴がトシマに居るというのか……
暫し目を閉じ考える。
そして何かを振り切るように部屋を出た。

あの男の言うことが本当かどうかはわからない。
だが、嘘は言わないとそれだけは信じられた。
必要なものを揃え、留置所へと急いだ。


作品名:棘の役割 作家名:あきら