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日向バカの影山の話

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「日向くんて、可愛いよね。私のことも可愛いって言ってくれてたし。嬉しいなぁ、影山君のことは好きだけど」
彼女は影山に衝撃の事実を突き付けてきた
「日向くんのことは愛してるんだ」
影山は、驚きのあまり何も言えなかった
「あの、影山くん?」
暫く黙ったままの影山に不審に思った彼女が問いかけた。

「日向くんって好きな子いる?会って話してみたいんだけどダメかな?」

影山は震える身体を抑えながら初めて彼女の顔を見た
彼女は何故か不敵な笑みを浮かべていた、好きな相手には到底見せないような表情だ
彼女は初めから他の女子とは違っていた
今まで付き合った彼女たちはふと目が合っただけで、ヒッと悲鳴を上げ、影山に謝っていた
好きな相手にあんまりではないかと思っていたが、日向に言わせれば俺は眉間に皺を寄せる癖のせいで人を怖がらせると言っていた。
それなのに、目の前にいる彼女は全く動じない
おかしいと思った。
俺はお世辞にも優しい人間とはいえない男だ
そういえば彼女は自分のどこに魅力を感じ付き合ってほしいと言っていただろうか?
面白いことに何故だか全く思い出せない
影山は初めてそこで、彼女は自分を異性の対象として見ていなかったのだと気づいた
それは何故か?彼女は俺の話を通して誰かを見ていたからだ
ではそれは誰か

そんなの一人しかいない

「駄目だ」

周囲にピりッとした空気が流れた
影山は一層鋭い視線を彼女に向けた言い放った
自分でもびっくりするくらい低い声が出た。
気付いた時には自然と口にしていた。そんな感じだ

この女を自分の相棒に会わせてはいけないと思った
恐らく理性的では思えない彼女に危険だと思わずにはいられなかった
「私、日向くんのこと愛してるの。影山くんとは比べものにならないくらい」
「あの、俺のことも好きだって言ってましたよね?」
「ええ、もちろん」
そう言って彼女は、胡坐をかいていた俺の太腿を撫でた
恐ろしいと思い、サッと身を引く
「それって日向に不誠実じゃありませんか?」
「不誠実?」
「日向を愛してるなら何で日向に、直接いかないんですか?」
「日向くんに会わせてくれるんだ」
影山はしまったと思った。
もし彼が彼女と二人きりになったら、彼はどうなるのだろうか?
影山は身震いした。
「あの、会うのはいいんスけど、俺も一緒でもいいですか?」
影山はできるだけ、彼女を刺激しないように、問うた
「どうして?」
「好きなんですよね?俺のことも。なら変なことしないで、俺の言うこと聞いてもらえますよね?」
彼女は傍目でも分かるくらい、顔を歪めた
俺は彼女の正体を知っているが、日向なんか簡単に丸め込まれそうだ
やはり会わせてなんてやるもんか
「日向に近づくな」
影山は反則かと思ったが、脅し文句のつもりで言い放った

「ふふ、好きよそういうの。でもやっぱダメ元だったけどダメなものはだめかぁ」
先ほどと違って、朗らかに彼女は天を仰いだ
影山はとりあえず、自分が無自覚に思った日向に対する独占欲を無視することし
普段バレーで頭を回転させる頭脳を精一杯働かせた。
「スンマセン、もうしないでもらえますか?こういうこと」
影山は極力平静を装った。俺を通じて日向に近づこうとした彼女に。しかし声色は今だ変わらぬままだ
影山は関係の終結を告げた
「別れてもらってもいいッスよね?」
これ以上付き合っても不毛だ
何故自分に好きだと偽り、日向に近づこうとしたのだろうか。答えは簡単だ
日向を「愛しているから」
愛しているからといって、何してもいいと本気で思ってる
「うん、もちろん。ほんとにごめんね。嘘ついて、やっぱり気付いてた?」
「いえ、ついさっきッス」
彼女は影山の傍にいる日向の情報を手に入れるため、利用しようと俺に近づいたのだ。
利用しようとしていたことを詫びると、その分バレー部に募金するからと言った
やはりそうか、彼女の狙いは始めから俺ではなく日向だった
それなら今までの言動に頷ける。
そりゃそうだよな、好きな奴の話聞いて嫌がる訳ねぇし。それにこの女、日向を手に入れる為にわざわざ部員の情報まで集めていた。
「影山くんの隙見て、男バレのオフの日とか日向くんの連絡先聞きだそうと思ったんだけど全然影山くん隙見せないんだもん、日向くんはあんなに隙だらけなのに」
ふふふと笑った彼女に影山は警戒心をあらわにした。
どこかで2人の間で日向を巡る戦いのゴングが鳴った気がした
「影山くんて彼女作る気ないでしょ?」
「今はバレーで頭いっぱいなんで」
「ついでに日向くんもでしょ?」
「まぁ、相棒なんで」
「ふぅん、いつも一緒にいるよね?」
「日向に何で告白しないんですか?」
影山は核心を突いた
「影山くんが邪魔だったからって言ったら?」
影山は喉のヒュッと鳴らした
いつの間にか弁当もそこそこに、初めて知った彼女の正体に影山は身震いした
彼女は自分をどうするつもりなんだろうか?すると彼女はブッと吹き出した
「冗談だよ影山くん、本気にしちゃだめだよ。男バレ期待の天才セッターに何かあったら、日向くんが活躍できなくなるもの」
「あの、どうして俺が邪魔してるって思ったんですか?」
「あ、影山くん。私の名前覚えてる?」
「え、と」
影山は明らかに話を逸らされたと思ったが、戸惑いつつ考えた
「あ、いいや、ごめんね。その顔でなんか分かった気がするから」
「スンマセン」
こんな危険な女に誤ってしまったことに驚いたが、自分がどれだけ今日まで彼女に無関心であったか自覚させられた
「いいよ、あ、でももしほんとに悪いって思ってたら、今度日向くんの写真ちょうだいよ」
それでチャラにしてあげる。そう茶目っ気たっぷりに言われ、何故か及川さんを彷彿とさせた。この女言うにことかいて日向の写真って…!
まぁでもそれで別れて貰えるならいいか。一緒にいても今度は日向に接触する為に色々協力させられそうだし。
「分かりました」
渋々そう言うと、ありがとー!と言って抱きついてきた
慌てて手で払うと、あははごめんねーと言って
「ほんとに日向くんのことばっかりだったねー」
「?」
その人はおや、と顔を傾げたあと不敵に笑ってみせた
「ランバルか」
ライバル?
名前やっぱ覚えておいてよ
その人はそう言うと、なんというかやはり年上、2年生だった。
日向お前とんでもなく危ない女に好かれたな
まぁこの手の女の人って純粋そうな男に惹かれそうな気がする
自分が陰気臭いせいかそんなことを思ってしまった
「好きなんでしょ?」
「バレーのことがッスか?」
その人はびっくりした顔をしたあと、良かった私にもチャンスあるわ、こりゃ失敬と言ったあと
「いや、日向くんのこと好きなんだよね?」

え、え?え??俺が?
いや待て待て待て待てだって
「それはアンタだろうが!」
「えー?!大丈夫?影山くん、あんたなんで振られ続けてるか知らないの?」
「それは俺がバレーと日向の話をし過ぎて呆れられてフラ、え?え!え?!」
始めは何言ってるんだコイツから始まり、バレーと日向のことを何故あんなにも意気揚々と話していたかと自覚したあと急激に沸き上がったのは羞恥心だった
作品名:日向バカの影山の話 作家名:tobi