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日向バカの影山の話

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つまり自分がバレーと日向の話ばかりしていたの彼が好きだったからだ
毎日のように、早朝練、部活、部活後の自主練、オフの日まで一緒に練習していた俺は面白いほど日向一色だった
今まで付き合った彼女たちは、どんなふうに自分を見ていたのだろうか
どんどん墓穴を掘りながら、顔を赤くしていく俺に、その人は大笑いしながら言った
「影山くんが邪魔だって言ったのは、日向くんと付き合ってるからかと思ってたんだけど、よかった!」

はぁ!?俺と日向が!?

「略奪してやろうと思って長期戦のつもりだったけど案外なんとかなるかも」
「略奪!?」
「影山くんが日向くんの話するたび嫉妬してたけど杞憂だった」
「杞憂?」
「いらぬ心配ってこと」
ていうか嫉妬してたのか
嬉しそうに話を聞いていたような気がするが全く気付かなかった
「噂通り全然彼女の話聞かないんだなって思って様子見てたんだよね。もともと眼中にあったのは日向くんだけだったけど、一応好きな相手ってことだから渡す気はなかったけどバレンタインのチョコ用意してたのに忘れてるとか、さすがに腹が立ったから私も忘れたフリした」
そういえばそうだった。
「でも普通に影山くん、日向くんにバレンタインにお菓子もらったとかいうから完全に入る隙ないなって思ってた」
確かにそうは言ったがそれだけだぞ
すると彼女は、キラリと目を輝かせた
「じゃあ、日向くんに会わせてもらえない代わりに、今日の部活終わり校門前に来て!日向くんの写真持ってきてよ!」
いつの間にかそんなことを約束させられ、どこか危険な匂いのするライバルは弁当の包みを軽快に回しながら去って行った
「ぜってー行きませんから!」
あはは独り占めは駄目だぞ、影山くーん、なんて言いながら

影山はその場で脱力した
くそッ
日向に会えないなんて言っておきながら、ちゃっかり俺が日向と帰るまで校門前で待つ気でいる気、満々の顔して去って行きやがった。口八丁手八丁じゃ叶わないが、俺と日向で築いた信頼関係を簡単に崩せると思うなよ
日向には毒牙一本でも触れさせやしねぇぞ、あの嘘つき女め
今まで俺と付き合っていたのは日向の有益な情報を得るために自分といたのだ
恐らく役に立たないと見切りをつけ、俺と別れることに了承したんだろう
俺から自由になった今、あの女、下手すると日向のストーカーになりそうだ。日向のやつ自転車通学だったけど最近雪でバス通学だもんな。とにかくしばらく日向のそばを極力離れないほうがいい

つーか、いつから?
いや待て他の人にもバレてるのか?
本人には?大丈夫だよな?あいつバカだし
自分のことを棚に上げながら冷静になるべく頭を働かせながら、自分のクラスに戻りながら、考える
むしろ日向への恋愛感情が駄々漏れで彼女たちはそれに辟易として、だから俺から離れていったってことか?
そりゃそうか、ホモなんかに近寄りたくないわなそりゃ
つーか何も考えずよく自信満々にベラベラと日向と自分のこと話せたな俺。
思い返してみれば思い当たる節が多過ぎて泣きたくなった
だが今は落ち込んでいるわけにはいかない
影山はとにかく彼女との接触をこれ以上増やしたくないと思い、足早に谷地のクラスに行き日向の焼き増ししたポスターの写真を譲り受けた
その日の部活後、自主練をせず、すごすごと体育館を出て行こうとする影山に日向が呼び止めた

「影山もう帰るのか?」
妖怪トスくれ小僧もとい、好きな相手。自覚するとなんと恥ずかしいことか。まだ打ち足りないのかボールを両手で持ち、てってっと効果音が鳴りそうな勢いで影山に近寄ってきた
呑気なもんだ何も知らない日向は不思議そうに首を傾げた
ぐ、可愛い!俺の目腐ってんのかも
「どうした影山顔色悪いぞ」
そう言うと日向は影山の顔を覗き込んだ
「なんでもねぇよ」
あの女に会いに行くのに少し、いやかなり嫌だったが頑張れる気がする。あの女に写真渡したらとっとと帰ろう
不覚にも癒されてしまった
影山は日向から顔を背けた
つーかあの女もこういうところに惹かれたのか
渡したくねぇな、このアホみたいな存在が試合以外でこんなにも自分に勇気を与えてくれるとは思わなかった
あんな危険な女ひっかけやがって分かってんのかクソ日向
本物の日向差し出すくらいなら、写真差し出す
それでもちょっと不服なのだが
日向のいいところは自分だけが知っていればいいのに
なるべく日向と目を合わせないように身支度を整えるべく部室に足を運ぼうとする影山に日向が爆弾を落とした
「彼女と一緒に帰んのか?」
影山は何故かヒヤリとしたものを感じた
今まで彼女が出来てから一度だって日向との自主練を止めなかった。つまりは彼女がいても日向と帰っていたことになる
なんだこの浮気がバレたような居心地の悪さは。影山は至って平静を取り繕い
「まぁそんなとこだ」
と答えた
実際には既に別れてしまっているが理由が理由なのでそのままにした。あとは谷地から運良く手に入れた日向のポスターの写真をあの女に渡すだけだ。日向はちょっと寂しそうな顔を浮かべたあと、にっこり笑った。
「そっか、じゃまた明日な」
影山が予想していたものより随分アッサリしたものだった
もっとごねてくれても良かったのに
アイツ今自分が狙われてるなんて夢にも思ってないだろうな、まぁ俺も人のこと言えないか。あの女と同じ思いを胸に秘めているのだから
そう思わずにはいられなかった。
日向はというと呑気に菅原のもとに行き、トスを強請っているようだ
影山はその姿に舌打ちをしてその場を離れた
まぁそんなもんだよな、日向との関係なんて。
影山と日向はバレーで繋がってる
それは、セッターとスパイカーという関係においてだ
影山は日向を誰よりも高く跳ばすトスを上げ、日向は目の前の勝利の為に影山のトスを打つ
ただそれだけの関係だ
分かりやすく肩を落とす影山には、後ろから日向の視線があったことに気づかなかった



菅原、もとい、そこにいた部員たちはいつの間にか影山の話を黙って聞いていた。
影山か日向の両者が何かと競争やら勝負やらをふっかけて、何かと一緒にいる
この前のバレンタインデーなんて彼女がいるにも関わらず「彼女からもらえなかった」とのたうち可哀想に思った日向は「しょうがないですねぇ影山クンは」と言いながらチョコ味のぐんぐんバーをもらい口をムズムズさせていた
いや彼女からもらえなかったことにもっと危機感を感じろ!嬉しそうに日向から貰ったぐんぐんバーを食す影山にだからお前はフラれるんだぞ!と一部の部員は心の中で叫んでいた
日向は日向でホワイトデーは肉まん3つなーと言って影山は割に合わねぇだろと言って、携帯を取り出してまだバレンタインデーだというのにホワイトデー特集の検索をしだす始末だ。
お前ら何で付き合ってねぇの?!と言いたくなる
日向は影山に彼女がいるのに自分を優先してくれていることが嬉しいのか、自分の面倒を見てくれるものだから居心地がいいのか休憩中も影山のそばを離れないし、影山は影山で日向がいないものなら、ドスドスと体育館の床を踏み鳴らし、周囲をキョロキョロさせながらあの鋭い眼光で日向を探し出しすぐさまトスを餌に日向を呼びつける
作品名:日向バカの影山の話 作家名:tobi