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雪解けはもうすぐそこだ

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廊下を歩く人は疎らだがまだ生徒は残っている。
何考えてんだよ、お前こんなことして変に思われたらどうすんだよ
俺ばっかドキドキしてバカみてーじゃん。俺、お前のこと好きなのに、なんでそんな優しくしてくんの?もうそんなに優しくしないでくれよ。前まではコートの中と同じように影山の気持ち、手に取るように分かっていたはずなのに。それが、最近わからない。これならいっそ告白なんかしない方が良かったかもしれない
保健室に行くと保健医はおらず外出中と札がかかっていた。
「ベッドで横になってろ、今体温計持ってくっから」
日向から手を離し、体温計を探しに棚の中を漁り始めた
「あ、あの影山俺ほんとに大丈夫だから」
「無理すんなよ」
「頼むからこれ以上優しくしないでくれ!」
そう叫ばずにはいられなかった
「いいから大人しく寝てろよ」
コイツほんと王様だな、何で人の話聞かねぇんだよ。俺も人のこと言えねーけど、部活出れない方が辛いのに、どんだけ過保護なんだ
とりあえず渋々ベッドに横になる
すると何故か影山もカーテンを開け日向が横になっているベッドのそばまでやってきた来た
「どうしたんだ?もう部活行って来いよ」
すると影山はカーテンを締め、寝ている日向に向き直るとベッドに手を置き、ギシリと音を立てたと思うと日向の額に反対の大きな手で、熱が出ていないか触れてきた。
「なぁほんとに大丈夫だから、心配しなくても」
「もうこれ以上優しくしないでくれって言ったよなお前」
影山はゆっくりと顔を近づけ日向の頬にちゅ、と口づけをした。途端にぼぼっと日向は顔を赤くする
「また赤くなってんじゃねーか」
「あ、ああああ当たり前だろ!」
影山は悪戯心から額に置いていた手をどけて、ベッドに腰を下ろし、日向に覆い被さると、顔中にキスの雨を降らし、日向の唇にも、ちゅ、ちゅと何度も口づけをする。
何考えてんだお前!!ここ学校だぞ!
バレたらまずいと思い離れるように影山の肩を押す日向だっだが。
「んん…っ?!」
し、し舌?!
影山の舌が入ってきてさすがに驚き肩を押して離れるようにうながすが両手首を影山に掴まれ、シーツの上に縫い付けらた。無理やり舌を絡ませてきて、くちゅ、ぴちゃといやらしい音を立てる
部屋に響いたいやらしい音に日向は生理的な涙を滲ませなる。
日向は口の端から自分のものか影山のものか分からない唾液を流した
影山に溺れてるみたいだ
このままじゃダメなのに、影山の手を振りほどけない
恍惚になりながら、徐々にぼんやりしてくる頭でそう思っていると、ガラッとドアが開く音がして、ドキリとした。
影山は日向の口の端についた唾液をペロリと舐めとると、日向から離れていった。

その日から、影山は徐々に日向に触れて来る箇所を増やしていった
次の日も影山の部屋で日向にお前ちゃんと身体解してねーだろと言ってストレッチをする
「おら、終わったぞ」
「ありがと」
「身体、前より引き締まってきたな、壊さないようにしろよ」
「お、おう!」
嬉しそうに返事をする日向に影山は他も見てやると言った
「お前1回ジャージの上脱げ」
「え!?」
「シャツ着たまんまでいいから」
そう言うと、シャツの上から身体をなぞるように触ってきた。
な、なんか触り方がえ、エロい…?
すごいゾクゾクする。なんだこれ
恥ずかしくて首を垂れるていると影山の長い綺麗な指先が首筋を撫でるように触った
「あ…っ」
自分の声に驚いて口元を慌てて右手で覆った
「大丈夫だから」
「?」
そうすると影山はそっと日向の右手を取って、ちゅっと唇を重ねた。
そのあと、交代で影山にストレッチしてやり、お前も触ってみるか?と言われドキッとする。ジャージを脱いだ影山のシャツの上から恐る恐る引き締まった腹筋を触るのが精一杯だった。影山はその間ずっと熱っぽい目を日向に向けたまま逸らさなかった
(やっぱり、バレーで大事な相棒だから俺に同情して付き合ってくれてるのか)
(俺が男を好きだなんて知ってほんとは困ってるのかもしれない。俺、影山に無理させてる)
暖房の効いた部屋で身体は温かいはずなのに、日向の胸の中ではしんしんと雪が降り積もる。
抱き締めてもらいながら、窓から降る雪が見えて、日向が静かに泣いていたことに、影山は気づかなかった。

告白してから1ヶ月近く経った土曜日。部活を終え、影山の自室にお邪魔する頃には雪から雨になっていた。
「ん、」
「お前も舌だせ」
影山の自室で、じゅっ、ぴちゃ、と卑猥な音を立てながら影山からの深いキスを甘受していた。
日向は頭片隅でぼーっとしながら、外、寒いだろうな帰りたくないな、と思っていると影山の唇が離れて日向を抱き締めた。
「明日、日曜で部活も久々に休養日だろ?」
「…うん」
「今日うち親帰ってこねーし泊まってけよ」
「……え?」
「いいだろ…?」
ひなた、今まで聞いたことない甘い声でそう耳元で囁くと、影山は抱き締めていた身体を離し、顔を日向の首筋に埋めて舌を這わせた
「…ひょっ?!」
「おい、色気のない声出すな」
ちょ、まま、待て!待て待て待て!
鎖骨まで舐め始めた影山の両肩をグイと日向は自分から離し距離を取る
「…なんだよ」
明らかに不機嫌になる影山
「か、かか影山なにする気?!」
「…あ?」
「お、俺のわがままに付き合ってくれるのは嬉しいけど、さすがにこれ以上はいいから!!」
「はぁ?!お前何訳わかんねぇこと言って…」
「あ、あああありがとう!今まで楽しかった!」
日向は勢いよく立ち上がり自分の荷物を持つと一気に階段を駆け下り、影山宅から駆け足で出て行った。後ろから日向!と言う声が聞こえたけど、これ以上影山の優しさに甘えちゃダメだ

雨で霙混じりの夜をがむしゃらに走る
くそ、泣いてんじゃねーよ、俺のバカ!!すると足が縺れ積もっていた固い雪の中に頭ごと突っ込んだ
霙が黒いジャージに染みを作って日向の身体からどんどん体温を奪って行く。
寒いよ影山、抱き締めて温めて欲しいよ、そんでちゃんと好きだって言ってほしい
日向は雪の中で涙を零しながら叫んだ
「あー!!まだ好きだよ!なんで諦めらめらんないの!?優しくすんなよ!なんでこんな苦しい思いしなきゃなんないの!?俺好きだって言ったじゃん、なのになんで…」
好きでもないのに、あんなことしてくんの?徐々に弱々しくなる語尾と共に雪の上に涙が溶けて消えた
お前が何も言ってくれないと、俺、終わりに出来ないじゃん。

「チビちゃん?!」
先ほどの叫び声に聞き覚えがあると思い、たまたま近くを歩いていた及川は雪の山に頭から突っ込んでいた日向の足を見て驚いた

「チビちゃんなにやってんの!?それはマットじゃないんだよ!?」

及川は日向を慌てて雪から救い出した。ぐったりとして、ふぅふぅ息が上がっており、頬は涙を流していた跡がある。額に手を当てると、熱が出ていることに気付いた

「とりあえず、チビちゃん病院行こう。そんで今日は及川さんの家に泊まりなさい」
及川はそう言うと、日向を抱え上げ冷たくなった身体に身震いした。
一体どれくらいここにいたのだろう

「か、影山、」

「どうしたの?」
及川は条件反射で聞き返してしまった
作品名:雪解けはもうすぐそこだ 作家名:tobi