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雪解けはもうすぐそこだ

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「好きでいるの、…諦めるから、……嫌いにならないで」
日向は熱に侵されながら、好きになってごめん、と泣いていた

「…何があったんだよ」
及川は日向を病院まで連れていき、病院から帰ってくると自宅の自分のベッドに日向を寝かせた。

次の日の日曜日、日はとうに登り切り、カーテンから光が差し込まれていた。
日向は目を覚ますと見慣れない部屋にいたことに驚いたが、すぐ及川が現れたことで熱に魘されながらも、病院に連れて行ってくれたことを思い出した。
及川のベッドの枕元にある時計を見ると時刻はとうに2時を指していた
「チビちゃん、平気?」
「ちょっとぼーっとしますけど大丈夫です」
「これ食べられる?」
及川が持って来たのは卵粥だった
「ありがとうございます」
どうやら食欲はあるようだ。及川はホッと一息つくと、日向が食べ終わるまで見守った

「チビちゃん、昨日何があったの?」
「及川さん…」
「昨日、チビちゃん熱に侵されながら、トビオのこと嫌いにならないでって泣いてたんだよ。何があったか教えてくれるよね?」
「……はい」

及川は日向と影山の経緯を粗方聞いたあと、大きな溜息をついて言った

(トビオがチビちゃんを好きだと言わないのと、チビちゃんがトビオになんでも許し過ぎて我慢してるってとこか)
「何で及川さんに相談しなかったの?」
「すみません、今まで忘れてました」
「まぁそんなことだろうとは思ったけど、チビちゃんが好きでもトビオがチビちゃんを好きじゃなかったら悲しいよね?」
「…はい」
「だったら簡単にそういうこと許しちゃダメだよ。いくら好きでも」
「……はい」
「まぁトビオにしてみれば、ギリギリ逃げられた感はあるかもしれないけどそれはアイツのせいだから、チビちゃんはもう、アイツに好きだと言われるまで何も許しちゃダメだよ?」

「分かりました」

(それにしてもトビオのやつ、仮にもまだ付き合って1ヶ月も経ってないのに、手ぇ早すぎでしょ。どんだけがっついてんの)

日向は反省した。いくら好きでも、流されてはいけなかったと。

「まぁでも、けしかけたのは及川さんだから責任は取るよ」

すると日向の携帯から電話が鳴った
かけてきた相手は通知から影山飛雄と表示されていた
「か、影山!」
「ダメだよチビちゃん」
及川は通話ボタンを押そうとする日向から携帯を取り上げる
「え??な、なんでですか?」
「俺言ったでしょ?好きだと言われるまで何も許しちゃダメだよって」
「で、でも影山、俺のこと心配して…」
「だからだよ、昨日から鳴ってたけど、黙ってた」
「な、なんで教えてくれなかったんですか?!」
「チビちゃん、今まで同情とはいえ、トビオと付き合ってたんだよね?」
「……っ」
「ちゃんとチビちゃんがトビオにとって大事な人間だって認識させないと逆戻りだよ」
すると及川は何を思ったのか、いつまでも鳴り響く携帯の通話ボタンを押した。
「お、及川さん?!」
『もしもしトビオ?』
『な、及川さんですか?!日向知りませんか?!なんか昨日から電話かけてるんですけど、全然音沙汰なくて…っ!日向んちの電話番号分かんねーからどこ探してもいねーし、てか、なんで及川さんが日向の携帯に出るんですか?!』
『とりあえず、落ち着けトビオ。そんな一気にまくしたてられても答えられないから。チビちゃんは今俺と一緒にいるから安心しな。親御さんにも連絡してあるから大丈夫」
『あ、じゃあ日向に代わって貰えませんか?』
影山は安心したのか、ようやく落ち着いて話出した。しかし及川は影山に爆弾を落とした
「ダメだ、それからチビちゃん。これから及川さんと及川さんの彼女と一緒にしばらく帰ることになったから」
「え?!及川さん何言って…聞いてないですよ!そんなことっ」
日向は及川から携帯を取り返そうとしたが、立ち上がり、簡単に日向の手から遠ざける
『その声日向か!?何がどうなってんのかちゃんと説明しろ!!』
『ちょっとトビオ、勝手にチビちゃんと話そうとしないでくれる?どうしたもこうしたもないの。及川さんの彼女がね、チビちゃんの大ファンなの。春高予選見てから好きになった追っかけだから、これを機に会わせてあげようと思ってね。全く俺というものがありながら、罪作りな男だよチビちゃんは」
『な?!何勝手なこと言って…』
『いい?トビオ、ちゃんと大事な人には言葉でその気持ちを伝えてやりな、じゃないと簡単に離れちゃうんだから』
『今、離そうとしてるのは及川さんじゃないですか!!』
『じゃあね、トビオ。』
『ちょ、まだ話は終わっ』
及川はプチっと日向の携帯の通話ボタンを切った。
「と言うことだから、チビちゃんしばらくは、俺と一緒に帰ってね?」
「嫌ですよ!!何で俺を無視して勝手にそんなこと決めちゃうんですか?!』
「もしトビオがチビちゃんの身体目当てだったらどうする?」
「…っ」
「嫌だよね?だから、別れたんだよね?」
まぁあり得ないと思うが、と及川は1人思う
男相手に、好きじゃなかったら触ろうとはしないだろうし
恐らくあのバレー馬鹿のことだから、告白時に好きだと言い忘れているか、もしくは言ったつもりでいるか、自分が好きと言わなくとも態度で分かるだろ、くらいに思ってそうだ。
日向はこれから自分を大切にすることと、影山はこれから自分の気持ちを伝えなくてはならない
「と言う訳だから、これからしばらくよろしくね」
人好きする笑みを浮かべると、及川は日向に携帯を返しながら条件を出してきた
「まず、チビちゃんはこれからトビオとの接触を減らすこと。携帯も一切トビオから来ても無視すること。そして一番大事なのは絶対2人きりにならないこと」
これは日向にとって困る条件だった
「え?!でも早朝練や自主練や昼の練習は?!」
「一切ダメ」
「えー?!でもそんなことしたら、絶対怪しまれますよ!それにいつまで続ければ…」
及川は机の上にある卓上カレンダーに目を向けるとにっこり笑って言った
「簡単!せいぜい3日ってとこかな」
「3日ですか…」
日向はガックリと肩を落とす。影山とバレーを禁じらた日向は、自分から簡単に影山に近付いてしまいそうだと思った
「まぁ、いつもより少し羽根伸ばすつもりでいようよ、君ら練習のし過ぎだからって怒られたことない?」
「うぐっ」
確かに…本戦前に、影山がユースから帰ってきた後一緒に夜遅くまで練習していて、澤村に怒鳴られた
「じゃあ、一緒に頑張ろうねチビちゃん」
そう言うと、及川は空になった土鍋を持ち部屋を後にした。
「まぁチビちゃんより、先にあっちが我慢出来なくなると思うけどね」
ポツリと零した言葉は日向には届かなかった。

次の日の月曜日の早朝
「何で来ねーんだアイツ!」
影山は早朝練習に来ない日向にイライラしていた。
携帯を見ても特に連絡は入っていなかった。
「はぁ…」
一昨日、一方的に別れを切り出され、電話にもメールにも反応しない上に、及川はこれから日向と一緒に帰ると言った
なんでもいいからとにかく日向と話がしたい
2人きりになれる時間は限られる、部活が始まってしまえば、バレーに集中しなければならない
「絶対別れてなんてやらねー」
作品名:雪解けはもうすぐそこだ 作家名:tobi