二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

雪解けはもうすぐそこだ

INDEX|4ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

影山は携帯を閉じると、いつも待ち合わせするようにしていた駐輪場から離れ、先に荷物を置いて体育館で待とうと部室を出た。
体育館で1人トスを上げ日向が来るのを待っていたが日向は現れなかった。
「チワーッス」
「チワッス」
「日向は?」
「まだ来てないみたいです」
「えー?!珍しいな!」
そんなやり取りを何人とも交わし、日向が来たのは朝練開始の7時になってからだった。
「おい日向」
「何?」
「……いや、何でもねぇ」
「あのさ影山」
「な、なんだ」
「俺、風邪引いてるから、あんまり側に来ないようにしてくれるか?」

なんとも納得出来ないまま朝練が終わった。

部室で着替えながら、菅原が気になっていたことを日向に聞いた
「今日はどうした?お前が7時ちょうどに来るなんて珍しいよな」
「俺一昨日、風邪引いて、熱は下がったんですげど、あまり無理をしないようにって及川さんから言われたんです。」
影山はピクリと耳をそばだてた。一昨日って確か俺が日向を泊まらせようとした日だ
それに、日向のやつ今まで及川さんのこと大王様って呼んでたよな?
何で及川さん呼びなんだ
「は?及川に?」
「なんだ、あの優男と会ったのか?」
「一昨日風邪を引いて、熱が下がらなくて、及川さんの家に泊まったんです」
(泊まった!?)
「大丈夫だったか?!」
俺は日向の両肩を掴み日向に詰め寄った
「うぉっ!?」
「どーした?影山、大丈夫って何がだ?」
「あっ!いえ。スミマセン…日向」
「何だ?」
「着替えたらこの後2人でちょっと話せるか?」
「…悪い、今日日直だから先急ぐ」
着替えを終えた日向は、先に部室を出て行ってしまった
何か意図的に避けられてる気がする…
「臣下にフラれて可哀想に…」
月島に笑われるたので睨みつける
影山は日向を見送ることしか出来なかった。
確かに一緒にいるとは聞いていたが、泊まっていたとは知らなかった
「クソッ」
影山は小さく呟くと、一昨日早く日向を自分のものにしたくて急いでしまったことにひどく後悔した
それと同時に弱っていた日向を介抱した及川に酷く嫉妬する
アイツ何もされてねーよな?
やっぱ追いかけてでも強引に問い詰めれば良かった
「俺からメールしてみるか」
「?」
西谷はぼそりと呟いた影山の言葉に首を傾げた
影山は始めて日向に、昼休み会う約束を自分から取り付けようと思った

昼休み
影山はイライラしていた。日向に昼休み話したいことがあると、1限が始まる前に連絡を入れていたのに、返信がないのだ
「なんで連絡寄越さねーんだよ!」
「!?」
毎時間授業が終わる度に携帯を開き日向からの返事を待っていた影山は、イライラが最高潮に達していた。
周囲のクラスメイトたちは、え?え?どうしたの、影山くんとヒソヒソ話をしている。
何時もなら何も言わなくても、毎日影山のもと来ていた日向を思うと、元来短気小僧な影山は、痺れを切らし1組に向かった。
「日向いるか?」
「日向?おい日向ーお客さんだぞー!」
適当な日向のクラスメイトを見つけ、日向を呼び付けてもらった

「悪い、影山。日向さっき、中本たちと一緒に学食行ったらしい」
「は?学食?」
影山は日向に昼休み前に連絡を入れていた筈だ。それなのに、他のやつと学食に向かった。
「チッ」
「ヒィっ」
連絡を無視しているのか、携帯を見ていないのか分からないが、何故こうも自分と接触しようとしないのか
日向は別れた気でいるようだが、影山にとっては受け入れがたいことだ
影山は礼も言わず、その場から立ち去った。
3組まで廊下を歩きながら、日向と2人きりになれるのはいつか考えていた。今日の昼練はなしだ。帰りは及川さんと一緒に帰ると言っていたから、日向と2人きりになれるのはまた明日だ。

影山ははぁと深い溜息をついた。

そして次の日の早朝
影山は眉間に皺を寄せイライラしながら、1人サーブ練習をしていた。
昨日に引き続き、またもや日向は影山の前に姿を現さない
昨日の夜、風邪を心配して、大丈夫か?と連絡した。大した内容じゃないし、すぐ返事が来ると思ったのに、朝来た時に携帯を開いても返事はなし
影山は何度も日向と別れた時のことを思い出していた。
《お、俺のわがままに付き合ってくれるのは嬉しいけど、さすがにこれ以上はいいから!!》
つまり、なんだ?日向は俺が同情して付き合ってくれていると思ってたのか?好きじゃなかったら、わざわざ手ぇつないだり、キスしたりしねぇよ!馬鹿なのかアイツ、いや馬鹿だった。てか俺のこと好きなんだよな?じゃあ何で離れようとすんだよ!!
ドゴォッという激しい音と共にボールはネットの向こうに叩きつけられた。
ホームランだ。
すると田中と菅原がチワーッスと言いながら、体育館に入ってきた。
「チワッス」
「相変わらず早いな~お前ら…?あれ?日向は??」
「……まだ来てないみたいです」
「そうなのか?まぁ風邪ひいたって言ってたしな、昨日もすぐ帰ったみたいだし」
「そういえば昨日あの優男と日向が2人で駅前の大きなショッピングモールにいたけど、珍しい組み合わせだったな」
は?
「へぇ及川とか?」
「俺、たまたま姉貴と買い物に付き合ってたんスけど、なんか小洒落たカフェに一緒にいたんスよね」
はぁ?!
及川さんと2人きり?確か、彼は彼女と3人で帰ると言っていた筈じゃなかったか?
「日向のこと泊めてやったりして、及川も日向には甘いのか、まぁ他校のやつと知らんうちに仲良くなってるのが日向だからな」
菅原と田中はそれもそうッスねぇ、つーかアイツ疑似ユースのメンバーとも連絡先交換してるとかネットワーク広過ぎッスよね。なんて言い合いながら影山は目の前が真っ赤になっていた。
先輩である上に及川の彼女と3人ならいいかと思っていたが、話が違うではないか
影山の中にドス黒いものが覆っていく、ギリッと拳を握った。
すると「チワーッス」と日向が西谷と現れた
影山は日向にどういうことだと聞こうとした
「おい、ひな「翔陽お前、昨日ホワイトデー買いに行ったんだろ?」
「え?!」
「明後日だろ?さっさと帰って及川と一緒に買い物行ってたとか、なんだよー隅に置けないやつめ!」
「ち、違いますよ!!」
「先輩を差し押さえ、女子からバレンタインを貰うやつはこうしてやる!」
そう言って西谷は日向に抱きつくと擽り出した
「ギャー!西谷さん、ややめっくっあはははっ」

あーっクソッ触んな!!
「おい日向!!」
影山の背後からズモモモと黒いオーラが纏っていた。
「うぇっ?!」
「何だ?影山」
何事かと西谷は擽りを止めた。
影山はドスドスと音を立て、日向を西谷からべリッと引き剥がした。
「遊んでていいんスか?」
「あぁん?」
「もうすぐ7時ッスよ?」
「……」
日向の腰に両腕を回して西谷から引き剥がした影山と、おい離せよ!と言っている日向を見て西谷は何かを理解した
(邪魔ッス西谷さん)
「なるほどな…!」
「……」
「悪かった影山」
西谷は笑って影山の肩をポンッと叩いて、おーい龍ーっと言ってその場を去った
「おい影山さっさと離せよ!みんな見てるからやめろって!もう部活始まるぞ!」
「…」
作品名:雪解けはもうすぐそこだ 作家名:tobi